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dodaが公表している転職求人倍率に変化あり
転職は長く売り手市場、つまり求職者有利の状況が続いていましたが、この状況は2020年で終了する可能性が高くなっています。
その根拠は転職支援サービス大手dodaが、2020年3月16日に発表した転職求人倍率レポート(2020年2月)で、いくつかの指標に変化が起こっているから。ちなみにこのデータを集計したのは、新型肺炎の問題がここまでひどくなる前です。現在(2020年3月17日時点)はさらに状況が悪化しており、日本の景気後退が迫っています。今回の転職活の歩きかたのニュースは、この大きな変化について、解説します。
まずはdodaが公表した2020年2月度の転職求人倍率の基礎データを分析します。
業種 | 求人倍率 | 前月比 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
全体 | 2.52 | -0.08 | -0.06 |
IT・通信 | 6.80 | -0.55 | 0.05 |
メディア | 1.80 | -0.08 | -0.39 |
金融 | 2.17 | 0.31 | 0.37 |
メディカル | 2.23 | -0.10 | 0.22 |
メーカー | 1.87 | -0.10 | -0.30 |
商社/流通 | 1.15 | -0.04 | -0.02 |
小売/外食 | 1.30 | 0.21 | 0.37 |
サービス | 2.77 | -0.17 | -0.14 |
その他 | 1.13 | -0.04 | -0.12 |
表1:業種別転職求人倍率レポート(2020年2月:doda調べ)
全体の求人倍率2.52倍というデータは、1人につき2.5社以上求人があるということですから、決して悪い数値ではありません。
業種別の求人倍率をみても、1倍を割れている業種はゼロ。全ての業種で1倍を超えていることから、転職先を選ばなければ転職自体は決して難しくないと言えるでしょう。特にIT・通信に関しては6.80倍と需要と供給のバランスが全く取れていません。IT・通信業種で働いている方であれば、圧倒的な売り手市場の中で、転職活動に取り組めるはずです。
ただ何点かこの数値に気になる変化が見られます。それは金融と小売・外食を除き、ほぼ全ての業種の求人倍率が前月比どころか、前年同月比でも下がっているという点です。さらに新型コロナウイルスの影響が直撃し、株価が大幅下落している金融業、買い物や外食を控える動きができている小売・外食業も、現在(2020年3月)は求人倍率が悪化している可能性が高いでしょう。
転職活動の歩きかた編集部では、長く求人倍率についてもウォッチしていますが、このようにほぼ全ての業種の求人が減少するという現象を観たのは実に数年ぶり。新型コロナウイルスによる企業業績への影響を考えると、2020年に景気が後退し、長く続いた転職市場の売り手有利の状況にも変化が起こりそうです。
それでは次に職種別の求人倍率を分析してみましょう。
職種 | 求人倍率 | 前月比 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
全体 | 2.52 | -0.08 | -0.06 |
営業系 | 2.29 | -0.01 | -0.10 |
企画・管理系 | 2.02 | -0.13 | -0.17 |
技術系(IT・通信) | 8.69 | -1.08 | -0.28 |
技術系(電気・機械) | 3.99 | -0.40 | -0.98 |
技術系(メディカル) | 1.61 | -0.08 | -0.25 |
技術系(化学・食品) | 1.46 | 0.05 | -0.14 |
技術系(建築・土木) | 5.54 | -0.61 | 0.57 |
専門職 | 7.39 | -0.15 | 0.16 |
クリエイティブ系 | 1.60 | -0.11 | -0.37 |
販売・サービス系 | 1.36 | 0.20 | 0.22 |
事務・アシスタント系 | 0.34 | 0.00 | 0.04 |
表2:職種別転職求人倍率レポート(2020年2月:doda調べ)
このデータを見ると、IT・通信業界の技術職、つまりSEやプログラマー、ITコンサルタントといった職種は、圧倒的に引く手あまたの状況にあると言えます。
また電気・機械、建築・土木もエンジニアの求人は、前月比でマイナスとなっているものの、前年同月比ではプラスで推移しており、総じて高いと言って良いでしょう。
この数値の中で気になるのは、やはり営業系の求人倍率の低下です。前月比、前年比ともに下落しており、企業の販売活動が活発とは言えない状況が続いています。
営業職は景気のバロメーターと言って良い職種です。営業職の求人意欲が低下していることは、決して良い兆候とはいえません。これは景気後退のサインの1つと言えるでしょう。
転職市場では長く売り手市場が続いていますが、過去の歴史を見ても、未来永劫売り手市場が続くということは絶対にありません。必ず景気は循環し、厳しい時期が訪れます。
2020年はここまでの経済指標を見る限り、景気後退の年になりそうです。転職を検討している方は、3月以降の転職求人倍率に注目すべきでしょう(※転職活動の歩きかたの調査では2020年3月の転職市場は、まだ大きな変化は見られません。)
転職を検討している方にとって、2020年は転職市場が売り手市場の中、転職活動に取り組むことができる最後のチャンスかもしれません。時期にこだわりがないのであれば、転職市場が落ち込む前の今のうちに転職活動をスタートすることで、好条件での内定獲得に近づくはず。
この機会に転職活動に取り組む時期を真剣に検討してみてはいかがでしょう。
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