ケース別転職対策
医師の転職を成功させるための3つのポイントを解説
高度な専門職である医師は、転職をする際も、極端に選り好みしなければ、求人に困ることはほとんどない、と言われています。
所属する医局や、恩師・友人・知人等の豊富なコネクションに加え、医師が不足している地域や施設も少なくないことから、他の職種と比較するとスムーズに次の職場が決まるのが、医師転職の特徴です。
しかし、転職をすること自体は容易でも、医師の転職には、専門職ならではの注意点がいくつか存在します。
ひとつはキャリアの問題。多くの診療科があり、そのそれぞれで高い専門性を求められる医師の場合、自分自身の最終キャリアをどこに設定するかをしっかり考えたうえで転職の方針を立てることが欠かせません。
また、転職で実現したいこと(年収アップや働き方の改善など)を、上記のキャリアとどのように関連づけるかも、転職に際して医師が考えておかなければならない注意点の1つです。
そこで今回は、「医師の転職」をテーマに、医師が転職を成功させるための3つのポイントを解説。
医局を離れて自力で転職をしたい方や、現在の病院から別の医療施設へ移りたいと考えている方など、転職を考えている医師の方は、ぜひご活用ください。
医師が転職を成功させるうえで欠かせないのが、長期の目標(最終キャリア)を立てたうえで、目下の転職によって実現したい短期の目標(転職の目的)を設定することです。
長期の目標とは、自分がどのような医師になりたいのか、という医師としての最終的なあり方です。
たとえば、開業をする、出産・育児を経て働く、特定の専門分野に注力するなど、ご自身の医師としての人生を通して実現したいことが、この場合の目標となります。
このような長期目標(最終キャリア)を考えたうえで、それを実現するために必要なことを、短期目標(転職の目的)に設定します。
たとえば、長期目標として「開業」を考えている場合でも、開業資金を貯めるために年収アップを目指すのか、多くの症例を経験してスキルアップを目指すのかは、個人個人の状況により選択が異なることケースも少なくありません。
長期目標を実現するために必要な短期目標を洗い出し、さらに、それに優先順位をつけることで、ご自身の転職方針をかなりの部分、固めることができるでしょう。
年収アップを転職の目的とする場合は、現在のキャリア・年齢・勤務先等から、どの程度のアップが見込めるのか、相場を確認しておきましょう。医局に所属している場合は、民間の医療施設へと転職することで年収アップを実現しやすい傾向がありますが、民間から民間への転職などの場合は、ケース・バイ・ケースです。
一般に、転職後の年収は、責任や労働時間に比例します。求人に記載されている年収は、一定の条件のもとで目安額を設定していることも多いため、たとえば当直を希望しない場合は実際のところいくらになるのか、年間の手術件数や外来のコマ数といった年収算出の根拠となっている条件をチェックすると良いでしょう。
これらの条件の確認は、直接確認するよりも、医師の転職支援を専門とする転職エージェントなどを経由したほうが手間がありません。
開業したい、専門性を高めたいなど、キャリアアップを目的に転職するケースも多いでしょう。
専門分野を掘り下げるのであれば、医局で技術の習得に専念するのも1つの方法。
その一方で開業を目的とする場合は、充分な症例数を経験できるクリニックや、経営知識を学べる(病院経営に参加できる)施設のほうが、直接的なキャリアにつながることも少なくありません。
また、勤務医として一か所で長く働きたいといった希望がある場合は、どのような施設が理想なのか(勤務体制、評価制度、育児との両立支援など)希望を洗い出しましょう。
こちらも、病院側に将来のキャリアマップを直接確認するか、医師の転職に強い転職エージェントに、該当施設へ転職した医師の事例がないかどうかを確認してみるのがおすすめです。
育児や介護をしながら働きたい、自分の時間を持ちたいなど、働き方の改善を転職目的とする医師も少なくありません。
現在の業務が忙しすぎて苦痛という場合は、まず多忙な原因を洗い出してみましょう。外来のコマ数、拘束時間、患者数、診療業務以外の雑務の量など、自分が負担と感じているところを明確にしておくことで、転職先への希望をはっきりさせやすくなります。
また、転職先の勤務体制をチェックすることも不可欠。たとえば、担当科には何名程度の医師がおり、どの程度のキャリアを積んでいるのか、医局とのつながりはあるか(人員を補充する手立てはあるか)等を確認しましょう。
労働時間の多い職場から、働き方を重視して労働時間の少ない職場へと転職すると、多くの場合、年収が下がる、勤務地が遠くなる、担当科が変わる、専門的なキャリアを積みづらくなる等、その他の条件も変動するケースがあります。
家族の意向やご自身のキャリアプランを考慮したうえで、折り合いのつく転職先を探っていくと良いでしょう。
上記の3つの転職目的よりも頻度は下がりますが、人間関係を原因として転職を希望するケースもあります。
ただし、人間関係のみで転職を決めてしまうと、自分が医師として実現したいことや転職先で積みたいキャリアなどの考察が不十分になり、転職の成功から遠ざかることに。
人間関係のトラブルが元で転職を検討している場合は、まず上司や同僚など、どの部分に問題があるかを分析してみましょう。状況を改善するよう上に働きかけることはできないか、同じようなトラブルを抱えている他のメンバーと連携する手段はないか等、現職での解決策を探るのも1つの方法です。
どうしても解決の道筋が見えない場合は、人間関係以外にも自分自身の転職の軸を作り、「医師として実現したいこと」「理想の働き方」などをつきつめて転職活動をスタートすると良いでしょう。
医師が転職を進めるうえで上手に活用したいのが転職エージェントです。
医療業界に特化して転職支援を行う転職エージェントも多く、医療施設の情報や、医師の募集状況などを、転職希望者向けに提供しています。
医師の日常は忙しく、医局や病院への在籍中に転職をしようと思っても、なかなか時間を捻出することができません。
転職エージェントに登録すると、医師向けの求人を紹介するだけでなく、求人への応募、履歴書等の書類作成サポート、面接のセッティング、入職条件の交渉など、転職にあたっての煩雑な業務の多くを代行してくれます。
また、各医療施設の内部事情にも詳しいため、勤務内容や、勤務日数&時間、当直の有無、残業と休日出勤の頻度、学会参加の際の対応など、気になるデータを提供してもらうことも可能です。
求人票や病院ホームページなどの公開情報だけでは見えないことも把握しているので、積極的に活用すると良いでしょう。
転職を希望する医師の登録実績6年連続No.1を誇る、医師専門の転職エージェント。医療機関との取引実績はトップクラス。好条件の求人や他では取り扱いのない求人が充実している。転職をサポートするキャリアアドバイザーは、全員が「医療経営士」の資格を保持しており、医療・経営分野の専門的なアドバイスを提供する。転職を希望する医師が登録しておきたい転職エージェントの1つ。
医師の転職サポートに特化した転職エージェント。医療機関専門のコンサルティングファームをバックボーンに持ち、独自の非公開求人を多数取り扱う。紹介される求人は、年収や業務内容だけではなく、病院の経営状況や経営方針、人員体制、職場の雰囲気、医師を募集している背景など、医師が転職する上で気になる情報がしっかりカバーされている。個人情報保護などの対応もしっかりとしており積極的に利用したい転職エージェントの1つ。
医師の転職サポートにおいて37年の実績を持つリクルートグループの転職エージェント。好条件と高収入にこだわった医師向けの求人を中心に取り扱う。開業を視野に入れている医師向けの求人や、副院長等の経営層の求人など、幅広いキャリアに対応した医師求人を紹介。無料登録をすると、診療科別の転職動向や、転職の成功事例などの情報も提供してもらえる。リクルートグループならではの転職実績・信頼性・コネクションを上手に活用したい。
医師の転職では、病院の新しい期がスタートする4月の入職をゴールに進めると良いでしょう。
医局であれば、人事が発表される前の10月頃までに次の職場が決まっていると安心です。(医局によって独自のルールがある場合は、一年前など、それよりも早めの告知が必要な場合もあります。)
転職期間は、半年から一年ほどを見込んでおくと、余裕のあるスケジュールで転職活動を進めることができるでしょう。
4月~7月 | 転職の希望条件を整理・情報収集・転職エージェント等に相談 |
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7月~9月 | 求人紹介・応募・施設見学・面接など |
9月~10月 | 入職先決定 |
10月 | 退職の交渉 |
4月 | 入職 |
医師の転職では、活動の最初の段階で、自分の医師としてのあり方や働き方をしっかりと考え、長期の目標として設定しておくことが欠かせません。
医師としてのキャリアが長くなるほど、今までの自分や今後のキャリアについて迷う、という方も多いでしょう。
スキル・経験の棚卸しや、今後のキャリアプランを練る際に迷うようであれば、医師転職を専門に手がける転職エージェントなど、転職のプロの力を借りるのも1つの方法です。これらの転職エージェントでは、個別の医療施設の情報なども豊富に把握しているため、特に、医局を離れての転職を検討している場合には、心強い味方となってくれるでしょう。
転職の目的の明確化や、充分なリサーチ、転職支援サービスの活用などを通して転職を成功させましょう!
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