ケース別転職対策
無期雇用派遣ってどう?メリットとデメリットを解説
派遣スタッフのあいだで話題になることが多い「無期雇用派遣」。
契約期間に定めのある通常の派遣(登録型派遣)とは異なり、無期限で雇用契約を結べるとあって、どのような働き方になるのか、興味を持っている方も多いでしょう。
無期雇用派遣とは、派遣スタッフと派遣会社が、期限に定めのない雇用契約を結ぶ労働形態のことです。
派遣会社の選考を受けて採用が決まれば、無期雇用派遣として働けるようになります。
無期雇用派遣が、登録型派遣と異なるのは、雇用期限の有無だけではありません。
登録型派遣の場合は、派遣スタッフが派遣先の企業で働いている期間のみ、派遣会社とのあいだに雇用関係が発生し、給料は時給でカウントされます。また、交通費は支給対象外となるケースが一般的。
ちなみに、派遣先が未定の期間(待機期間)は就労していないものとして給料は発生しません。
一方、無期雇用派遣では、派遣スタッフは派遣会社に常時雇用されていることになるため、給料は固定給(月給)で、交通費も支給対象となります。
派遣先が決まっていない場合でも、派遣会社とは雇用関係が発生しており、毎月決まった給料を受け取ることが可能。
なお、登録型派遣は、「労働者派遣法」の規定によって、同じ派遣先に3年間務めた時点で、①派遣先を変更する、②派遣先の企業で直接雇用してもらう、③派遣会社が無期雇用に切り替える、という、いずれかの進路に変更する必要があります(3年ルール)。
②のように直接雇用の話がまとまればベストですが、中には、3年の抵触日を前に契約解除(派遣切り)となるケースも少なくありません。
また、③のように無期雇用となる選択肢もあるため、登録型派遣として働く場合も、無期雇用派遣のメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
雇用期間に定めがない、という点では同じように見える無期雇用派遣と正社員ですが、こちらも雇用主や待遇などが異なります。
無期雇用派遣では、派遣スタッフが雇用契約を結んでいる相手は派遣会社です。
派遣先の企業で過ごす時間のほうが圧倒的に長いとしても、社員ではないため、キャリア支援や住宅手当、社員割引のような、派遣先企業の福利厚生は、原則的に利用することができません。
一方で、無期雇用契約を結んでいる派遣会社の給与・ボーナス規定や福利厚生などの対象となることがほとんどです。
ただし、無期雇用派遣は、派遣会社の正社員とも、厳密には異なります。
無期雇用の派遣スタッフが行う業務は、あくまで派遣先の企業に指示された仕事内容であり、派遣会社の内部の業務をこなしているわけではありません。
そのため、昇進や昇給があるとしても、派遣社員の正社員と完全に同等とはならず、ある程度は限定されることも意識しておきましょう。
無期雇用派遣で働く一番のメリットは、時給ではなく月給で給料が支払われるため、待機期間のような無給の期間が発生せず、収入が安定している点です。
派遣会社の規定によって、交通費やボーナスが支給されるのもうれしいポイント。
また、派遣先での仕事は、ほとんどが事務となるため、パソコン操作や電話応対といった事務のスキルを身につけ、キャリアに活かすこともできます。
事務が未経験でも、派遣会社が提供する研修制度を利用し、事務のスキルを身に着けることができるため、事務職に転向したいと考えている場合は特におすすめです。
無期雇用派遣の5つのメリット
一方、無期雇用派遣にはデメリットもあります。
最初に知っておきたいのは、主として20代の若年層を対象とした案件が多く、応募時の年齢によっては採用選考に通りにくくなる点です。
また、派遣先の業務は一般事務が中心で、未経験から事務職を目指すのには向いていますが、既に事務としてのキャリアがある方が、専門的なスキルを習得するには不向き。一般事務以上のキャリアアップやスキルアップを目指している場合は、どこかでキャリアプランを見直す必要が出てきます。
特に、「いずれは正社員として働きたい」という希望がある場合、派遣先の企業が直接雇用に積極的ではない場合、どこかのタイミングで転職活動を検討すべきでしょう。
なお、無期雇用派遣は、長期雇用を前提としているため、派遣先では正社員と同等の仕事を任されるケースや、残業を頼まれるケースもあります。
しかし、前述の通り、派遣先の正社員と無期雇用派遣は、雇用主が異なるため、待遇はそれぞれの雇用元に準じています。
「仕事の内容が同じなのに正社員とは給与体系が違う」等で、モチベーションが下がりやすいケースがあることも意識しておきましょう。
また無期雇用派遣は、基本的にフルタイム勤務となるため、長期休暇を取りにくかったり、未就労の期間をなくすために望んでいない派遣先を案内される場合があるなど、登録型派遣と比較すると就労の自由度が下がる点も注意しておきたいポイントです。
無期雇用派遣の5つのデメリット
無期雇用派遣は、現在、ほとんどの派遣会社がサービスを提供しているため、採用選考も様々な派遣会社で受けることができます。
派遣会社を選ぶ際は、派遣先の紹介や就業中のフォローを担当するキャリアアドバイザーの質が重要。こちらの希望を聞いて、適性を踏まえた派遣先を紹介してくれるか、キャリアの悩みに親身に対応してもらえるか等も重視しましょう。
また、無期雇用派遣では、雇用元の派遣会社の福利厚生や昇給制度が派遣スタッフにも適用されます。派遣会社の規模や規定によって受けられる福利厚生の内容などが異なるため、各社の募集要項をよく比較すると良いでしょう。
以下は、無期雇用派遣を専門で手がける部署を持っているおすすめの派遣会社です。
人材総合サービスの「スタッフサービス」が運営する無期雇用派遣。20代・未経験から事務職を目指す人のために、OA講座や職種別研修などの様々なキャリアアップ支援を実施している。
交通費・残業代は全額支給、賞与もあり(ミラエールの規定に準ずる)。
また、独自の昇給制度を設け、昇給額や評価の基準を公開。最終的にどの程度の給料をもらえるかをわかりやすく提示している点も評価できる。対応エリアは、関東(東京23区内・神奈川)、愛知、滋賀、大阪、兵庫、京都など。
マイナビグループが運営する無期雇用派遣。未経験から事務職を目指す若年層のために、派遣先紹介と、ビジネスマナー・OAスキルなどの支援を実施。採用後は専任のキャリアアドバイザーと相談のうえ、自分の適正に合った派遣先を紹介してもらうことができる。
交通費は上限が月3万円までとなるが、残業代は全額支給、賞与は年2回と手厚い。公式ホームページ内には様々な事務職の適正チェックリストも公開されている。対応エリアは、関東(東京23区内・神奈川・千葉・埼玉)、愛知、滋賀、大阪、兵庫、京都、広島など。
世界80ヶ国に展開する「マンパワーグループ」が運営する無期雇用派遣。20代を中心に未経験から事務にチャレンジしたい人向けに、派遣先の紹介や無料研修、就業フォローなどを実施している。 交通費の支給規定は非公開だが、賞与は年1回、残業代は別途支給。昇給制度も用意されている。また、派遣先企業は自宅最寄り駅から1時間45分以内としている。対応エリアは、関東(東京・神奈川・千葉)、大阪、兵庫、京都など。
2015年の労働者派遣法の改正によって、派遣会社と期間を定めないで雇用契約を結ぶ無期雇用派遣の注目度が高まっています。
登録型派遣のような「待機期間」がなくなるぶん、収入が安定するなどメリットが多い無期雇用派遣ですが、フルタイム勤務で残業を頼まれるケースもあるなど、従来の派遣の自由度が制限されるデメリットもあります。
無期雇用派遣のメリットを最大限に活用できるのは、未経験から事務職へとキャリアチェンジしたい若年層。様々な研修制度やキャリアアドバイザーのフォローを受けながら、事務としての就業実績を作ることができるため、上手に利用しましょう。
ただし、最終的に正社員を目指している場合は、正社員雇用を前提とした「紹介予定派遣」や、通常の転職活動で正社員に応募する方法も視野に入れていくのがおすすめです。
今回ご紹介した無期雇用派遣のメリット・デメリットも参考に、様々な働き方の中からご自身に合った雇用形態を見つけましょう!
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