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中小企業と大企業の昇給率の平均を調査
2023年もあと1ヶ月で昇給月の4月がやってきます。
多くの企業は2月中、遅くとも3月のうちに昇給の通知を行い、4月から新しい給与が反映されます。会社で働いている人であれば、誰もが気になるのが今年の昇給率ではないでしょうか?
給与が増えるか増えないかは日々の生活に大きな影響を与えます。特に最近のインフレ率(物価上昇率)を考えるとなおのことです。また昇給は会社の業績を知り、自分自身への期待や評価を知る機会でもあります。昇給率の平均がわかれば、自身がどう評価されているのかが必然的にわかるので、平均よりも著しく昇給率が低い場合、正当な評価を受けられる会社に転職するのも選択肢の一つ。
今回の転職活動の歩きかたのニュースは、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年の実績も踏まえ、2023年の中小企業と大企業の昇給率の平均を予想しました。
ちなみに本調査の結果は昨年も数百円程度の誤差しかありませんでした。2023年4月の昇給率の平均を知りたいという方は、是非最後までチェックしてみてください。
FAQ平均昇給率とは?
平均昇給率とは、前年度の基本給与に対して、翌年度の給与がどの程度上昇したかを示す指標です。大企業と中小企業では、昇給率が大きく異なります。大企業に関しては経団連が会員企業にアンケート調査を実施し、その結果を集計、公開しています。中小企業に関しては民間の調査会社が実施した調査結果を利用するのが一般的です。
FAQ中小企業の平均昇給率は?
経済産業省が公表しているデータによると、日本には約420万社の企業があり、そのうちの99.7%が中小企業に分類されます。中小企業の定義は業種によってことなり、製造業の場合は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業の場合は資本金1億円以下または従業員100人以下となっています。中小企業の平均昇給率は、大企業と比較すると、2020年に関しては大企業が2%強となっているのに対して、中小企業は1.7%前後です。2021年は景気が悪化していることから、さらなる低下が見込まれます。
2019年の中小企業、大企業の昇給率の平均を調査する前に、2017年の平均昇給率をまずは知っておきましょう。
まず中小企業に関しては経済産業省が発行している平成29年度賃上げの傾向から抜粋します。この資料によると、300人未満の企業の昇給率は1.99%、平均で4,971円の昇給となっています。
これを月給20万円、25万円、30万円で考えると、以下の昇給額になります。
月給20万円 | 3,980円 |
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月給25万円 | 4,975円 |
月給30万円 | 5,970円 |
それでは次に、大企業の平均昇給率を調べます。これは大企業の集合体である経団連が公表している資料、2017年1~6月実施分 昇給・ベースアップ実施状況調査結果が役に立ちます。この資料によると経団連加盟企業の昇給率は2.3%、平均で6,914円の昇給となっています。
これを月給20万円、25万円、30万円で考えると、以下の昇給額になります。
月給20万円 | 4,600円 |
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月給25万円 | 5,750円 |
月給30万円 | 6,900円 |
ちなみに2015年にリクナビNEXTが発表した昇給の平均額を見ると、中小企業の昇給率は1.45%で昇給額は3,500円程度、大企業の昇給率は2.59%で昇給額は6,500円程度となっています。
つまりここ数年の昇給率は大企業は横ばいから若干低下する一方で、中小企業は上昇。昇給額は大企業、中小企業共に上昇するという結果になりました。
それでは次に2018年の中小企業、大企業の平均昇給率について見ていきましょう。ちなみに日本政府は、2017年10月26日の経済財政諮問会議の中で、2018年の春闘では「3%の賃上げ実現を期待する」と異例の要請を行いました。
2001年まで遡り、経団連の過去の昇給率を調査しても最低1.8%~最高2.4%までの間で推移しており、この3%という数値は非常にハードルが高いことは間違いありません。
経団連は落としどころとして、過去最高の数値の提示し、最終的には2.54%の平均昇給率になりました。
また中小企業に関しては、差は縮小しているとはいえ、過去に大企業の昇給率を上回ったことはありません。連合が集計を取った、中小企業の最終的な昇給率は1.99%になりました。
この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 5,080円 |
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月給25万円 | 6,350円 |
月給30万円 | 7,620円 |
月給20万円 | 3,980円 |
---|---|
月給25万円 | 4,975円 |
月給30万円 | 5,970円 |
それでは次に2019年の中小企業、大企業の平均昇給率を解説します。2019年は前半こそ好調でしたが、後半には消費税増税が実施され、大幅に消費が落ち込んだ1年でした。2019年の昇給は4月に行われているため、順調に昇給していますが、2020年に不安を残した1年と言えるでしょう。
本調査(2019年・春季労使交渉最終結果(2019年7月5日発表)によると、2019年は従業員1,000人以上の大企業は2.12%。100人未満の中小企業に関しては1.87%になりました。
この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 4,240円 |
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月給25万円 | 5,300円 |
月給30万円 | 6,360円 |
月給20万円 | 3,740円 |
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月給25万円 | 4,675円 |
月給30万円 | 5,610円 |
それでは最後に2020年の中小企業、大企業の平均昇給率を解説します。まずは大企業のデータを見ていきます。大企業の平均昇給率は、経団連が公表しているデータが正確です。
経団連が2020年8月3日に発表した2020年の春季労使交渉の最終集計結果を見ると、定期昇給とベースアップを含めた平均昇給率は2.12%でした。これはほぼ前年と変わりません。ただしこれはあくまで昇給部分です。新型コロナの影響で、多くの企業が影響を受けており、定期昇給は行われたものの、年末の賞与が大幅に減った人も少なくありません。
ちなみにこの賃上げ率は、東証1部上場企業21業種251社の統計データです。中小企業は、大企業と比較すると、昇給率が1割程度低い傾向があり、連合の集計によると2020年の中小企業の昇給率は1.93%でした。
この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 4,240円 |
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月給25万円 | 5,300円 |
月給30万円 | 6,360円 |
月給20万円 | 3,860円 |
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月給25万円 | 4,825円 |
月給30万円 | 5,790円 |
次は2021年の中小企業、大企業の平均昇給率を解説します。経団連が「2021年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果」を公表しているのでそのデータをチェックしましょう。
本調査結果を見ると、2020年と比較すると、2021年のほうが賃金環境は厳しかったことがわかります。100人未満の企業に関しては1.66%、300人以上の大企業に関しては1.72%になりました。昇給率は製造業、非製造業関わらず低下しており、2021年は厳しい年になったと言えるでしょう。2022年も厳しい結果になることが予想されます。
この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 3,440円 |
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月給25万円 | 4,300円 |
月給30万円 | 5,160円 |
月給20万円 | 3,320円 |
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月給25万円 | 4,150円 |
月給30万円 | 4,980円 |
次は2022年の中小企業、大企業の平均昇給率を解説します。2022年2月21日に東京商工リサーチが2022年度の賃上げ(昇給)に関する最新の調査結果を公表しているので、その内容を分析してみましょう。
本調査結果を見ると、2022年度に賃上げを実施した企業の数は77.5%でした。2021年度は70.4%だったので、賃上げの実施状況に関しては2022年と比較すると、改善が見られます。ちなみに昇給を実施すると回答した企業は製造業が最も高く83.9%に。最も低かったのは金融・保険業で55.1%でした。実際の昇給率に関しては、2%以上3%未満が最多の36.2%、1%以上2%未満が23.2%になりました。
日本労働組合連合会が発表した昇給率は、大企業が2.14%、中小企業が2.05%。この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 4,280円 |
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月給25万円 | 5,350円 |
月給30万円 | 6,420円 |
月給20万円 | 4,100円 |
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月給25万円 | 5,125円 |
月給30万円 | 6,150円 |
最後に2023年の中小企業、大企業の平均昇給率を解説します。2023年2月20日に東京商工リサーチが2023年度の賃上げ(昇給)に関する調査結果(第2回)を公表しているので、その内容を分析してみましょう。
本調査結果を見ると、2023年度に賃上げを実施する企業の割合は80.6%となっています。内訳をみると大企業が85.5%を記録したのに対して、中小企業は80%と企業の規模によって5.5%もの差がついています。ちなみに昇給を実施すると回答した企業は製造業が今年も最も高く85.9%に。最も低かったのは不動産業で61.62%となっています。実際の賃上げ率に関しては、3%以上4%未満が最多の29.9%、次いで2%以上3%未満が23.4%になりました。
転職活動の歩き方では、今年の賃上げ率は3.5%程度になると予想。例年中小企業は、大企業と比較すると、昇給率が例年1割程度低いことから、中小企業の昇給率は3.15%になると予想します。
この結果をもとに、大企業と中小企業の昇給額をまとめると、以下のようになります。
月給20万円 | 7,000円 |
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月給25万円 | 8,750円 |
月給30万円 | 10,500円 |
月給20万円 | 6,300円 |
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月給25万円 | 7,875円 |
月給30万円 | 9,350円 |
2023年4月の昇給額の平均はいかがでしたでしょうか?企業の業績は非常に厳しいものがありますが、社会人として1年間頑張ってきたのであれば、企業(経営者)はそれに応える必要があります。旅行業や飲食業等、著しい業績悪化を余儀なくされている業態以外、昇給なしというのは論外。平均昇給額はあくまで全体の平均であり、従業員を大切にする企業であれば、平均を上回る昇給を実施するはずです。
また企業の社風や体質は簡単には変りません。
もし今昇給がない、平均昇給額が低いのであれば、数年経ったからといって、その状況が変わる可能性は低いでしょう。
将来の昇給に希望が持てない場合は、転職市場が活況を呈している今が良いタイミングであることは間違いありません。
まずは自身の市場価値を知り、転職エージェントに今後のキャリアについて相談してみることをおすすめします。
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