ケース別転職対策
身に着けておくべきスキルや役立つサイトをチェックしよう
内閣官房日本経済再生総合事務局が発表した「フリーランス実態調査結果(令和2年度調査)」によると、フリーランスの試算人数は約462万人でした。また、フリーランスを選択した理由として6割以上が「自分の仕事のスタイルで働きたいため」と回答。「働く時間や場所を自由にするため(39.7%)」、「収入を増やすため(31.7%)」、「より自分の能力や資格を生かすため(27.3%)」と続きます。
フリーランスのメリットは、「働く日数や時間を自分で自由に決めることができる」「自分らしい働き方を目指せる」「成功すれば収入が増える」等です。その一方で、「収入の安定性が低い」「取引先とのトラブルが起きたときの負担が大きい」等のデメリットもあります。
フリーランスを目指す場合は、仕事内容や働き方が自分に合っているかどうかを見極めることが大切です。フリーランスへの転身を機に未経験の職種にチャレンジする人も少なくありませんが、収入を早く安定させたい、自分のスキルを生かしたい場合は、経験がある職種を選びましょう。
現代では、IoTやAI、コンテンツマーケティング等を中心としたIT関連の仕事に大きな需要があります。そのため、Webに特化したライターやWebデザイナー、ITエンジニアは未経験でも挑戦しやすい職種です。それぞれの職種のメリットとデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
ライターという職種のメリットは、仕事を通じて得た知識や論理的思考力を日常生活に役立てられることです。
ライターと一言で言っても、Webコンテンツ専門ライター、紙面専門ライター、ブックライター、インタビューライター等、ライターの種類によって必要な知識が異なります。いずれの場合も、Webサイトや書籍等から情報収集し、案件ごとに適切な形で用いる能力が必要です。また、最初から最後までスムーズに読める記事を執筆するために、起承転結が成り立つ論理的な文章を構成する能力が求められます。
ライターのデメリットは、1日の執筆文字数が多い場合は手首を痛めるリスクが高いことです。また、長時間のデスクワークによって身体がこり固まることで、肩こりや腰痛に悩まされる場合もあります。腰への負担を軽減できるワークチェアに正しい姿勢で座り、こまめに休憩することで、このようなリスクを低減できるでしょう。
Webデザイナーという職種のメリットは、Web関連の複数のスキルが身に着くことです。Webサイトを作成する際は、文章をチェックし、全体構成とレイアウトを決めた上でデザインを作り、HTMLやCSS、JavaScript等で文章や画像の配置、フォントや文字サイズの指定、視覚効果の付与などを行います。そのため、文章校正やデザインスキル、画像の作成スキル、コーディングスキルなど、さまざまなスキルを習得できます。
文章校正スキルや全体構成を整える力は、ライターの仕事にも生かすことができるため、Webデザイナー兼ライターとして活動している人も実は少なくありません。ライターとの兼任で収入の安定化を図ることができる点もメリットでしょう。
Webデザイナーのデメリットは、求められるスキルが多いことです。未経験からフリーランスのWebデザイナーになる場合、スキルを独学で習得する必要があります。各スキルが一定を超えて初めてWebデザイナーとして認められるため、未経験でフリーランスのWebデザイナーになることは難易度が高いと言えるでしょう。
ITエンジニアのメリットは、需要が供給を大きく上回っており、仕事に困る心配が少ないことです。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の不足数は2020年で30万人、2025年で36万人、2030年で45万人と今後もさらに上昇していきます。IT業界が慢性的な人材不足に陥っている状況を考えると、今から未経験のITエンジニアを目指しても決して遅くはないでしょう。また、レバテックの「2021年の企業の業務委託IT人材活用動向」によると、フリーランスのITエンジニアと契約する企業が増加傾向にあります。
ITエンジニアのデメリットは、IT業界のトレンドが変化する度に対応が必要になることです。ツールや言語、求められるスキル等の変化に対応するために、必要に応じてセミナーやスクールの活用も検討しましょう。
フリーランスが身に着けておくべきスキルは、営業力やコミュニケーション能力、自己管理能力等です。会社員は、仕事を会社の営業担当者が確保するため、ライターやWebデザイナー等が営業する必要はありません。一方でフリーランスの場合は、自分で仕事を探して契約を締結する必要があります。どれだけ高いスキルを持っていても、自分のスキルや経験等を適切にアピールし、契約に繋げる営業力がなければ仕事を獲得することはできません。
また、クライアントとのコミュニケーションを通じて信頼関係を構築したり、不明点や疑問点を話し合ったりするために、ある程度のコミュニケーション能力も必要です。高品質な納品物を提供することはもちろん、コミュニケーションを通じてクライアントとの信頼関係を築き上げれば、継続的な協力関係を築きやすくなります。
その他にも労働時間や休憩時間、労働日数等を自分で決めて、スケジュール通りに仕事を進める自己管理能力も必要です。いつでも休憩したり趣味を楽しんだりできる環境で、スケジュール通りに仕事を進めることは容易ではありません。
引き続き、ライター、Webデザイナー、ITエンジニアがそれぞれ習得しておきたいスキルについて詳しく見ていきましょう。
ライターが身に着けておくべきスキルは、Web専門ライターやインタビューライター、ブックライターなど、どこに軸足を置くかで異なります。全てのライターに共通する必要なスキルは、正確で読みやすい文章を書く能力です。また、コンテンツマーケティングを主軸としたライターを目指す場合は、SEOの知識も求められます。SEOとは、Webサイトが検索エンジンの上位に表示されるように対策する技術の総称です。検索順位を決める要素には、文章構成、内容の充実度、サイト設計、執筆者や監修者の権威性等があります。
インタビューライターは、インタビュイーの回答から新たな質問を生み出し、深くて濃い情報を入手するスキルが必要不可欠です。ブックライターは、著者の代わりに執筆するため、インタビューライターに求められるスキルに加え、数百ページにも及ぶ作品を作り上げる根気強さが求められます。
Webデザイナーが身に着けておくべきスキルは、UI/UX設計やグラフィック製作、コーディング等です。UI/UX設計では、ユーザーが使いやすいことは大前提として、「楽しさ」や「わくわく感」等を得られる設計が求められます。クライアントの要望に応えるために、より優れたUI/UX設計のスキルが必要です。また、サイト全体が一貫したデザインになるように、トンマナ設定とグラフィック製作を行います。
デザインの基礎知識に加えて、クライアントの要望に応えるための一歩踏み込んだ知識がある方が収入の安定に繋がりやすいでしょう。コーディングは、Webデザイナーが一部を担当し、残りはコーダーに外注する方法もあります。そのため、他のスキルと比べると優先度は低めですが、コーディングの確認は必ず必要になるため、基礎知識は身に着けなければなりません。
ITエンジニアに必要なスキルは、職種によって異なります。職種別の業務内容と必要なスキルは次のとおりです。
職種 | 業務内容 | 必要なスキル |
---|---|---|
プログラマー | システムエンジニアが作成した設計図に基づいてプログラミングする |
|
システムエンジニア | システムの設計や開発 |
|
Webエンジニア | アプリケーションやサイトの設計や開発から運用・保守まで行う |
|
サーバーエンジニア | サーバー構築と保守 |
|
フロントエンジニア | Webサイトにおけるユーザーが触れる部分を作成する |
|
ITエンジニアは他職種と連携する機会が多いため、コミュニケーション能力が必要不可欠です。また、システムエンジニアはプログラマーにプログラミングを依頼するため、プロジェクト管理能力や基礎的なプログラミングスキルが求められます。各職種の業務内容と求められるスキルを確認し、自分に合った職種を選びましょう。
フリーランスは、取引先探しから契約、売掛金の回収、確定申告まで、原則として全て自分で行います。これらの業務を円滑に進め、仕事に集中するためにも、お役立ちサイトを上手く利用しましょう。
本チャプターでは、確定申告を円滑に遂行するためのサービス、仕事を手軽に探せるクラウドソーシングサービス、万一のときに備えたファクタリングサービスをご紹介します。
弥生オンラインは、確定申告や決算書、給与明細、見積書・納品書・請求書の作成をサポートするソフト。ラインナップは、「やよいの白色申告オンライン」、「やよいの青色申告オンライン」、「弥生会計オンライン」、「やよいの給与明細オンライン」、見積書・納品書・請求書の作成をサポートする「Misoca」の5つ。
確定申告と会計のソフトは、クレジットカードや銀行口座を登録することで取引データが自動仕分されるため、日々の記帳の手間を大幅に軽減できる。また、イラストアイコンや矢印で作業の流れがわかりやすく示されており、簿記や会計の知識がなくても確定申告や決算書を容易に作成できる点はぜひチェックしておきたい。
令和2年に行われた青色申告特別控除の適用条件の変更をはじめとする法改正にも対応。さらに、白色申告オンラインと青色申告オンラインは、Misocaと連携することで請求書データの自動取込・自動仕分が可能。二重入力の作業負担や入力ミスを軽減できる。
業界最大規模の700席のカスタマーサービスを用意しており、実務教育を受けた専門スタッフにソフトに使い方や不明点を質問できる。カスタマーサービスのお客様満足度は94%(2021年6月調べ)と非常に高い点も見逃せない。
クラウドワークスは、業界最大規模のクラウドソーシングサービス。クラウドソーシングサービスとは、発注者と受注者をインターネット上で仲介するサービスのこと。クラウドワークスは大企業や政府をはじめとした72万社以上が利用しており、毎日新しい案件が登録されている。案件検索画面は、ライティング・記事作成、キャッチフレーズ・コピーライティング、オウンドメディア・ブログ記事作成、レビュー・口コミ、記事・Webコンテンツ作成、文書作成、ホームページ作製、ウェブデザイン、HTML・CSSコーディングUI/UX設計・デザイン、Web開発・システム設計、保守・運用・更新、アプリケーション開発等にジャンル分けされており、スキルに見合った案件をスムーズに探すことができる。
副業からフリーランスまで、幅広いワーカーが活躍しており、クラウドワークスをきっかけに収入が安定し、フリーランスとして独立できた人もいる点はぜひチェックしておきたい。
また、クライアントからクラウドワークスが報酬を預かった状態で業務を開始し、納品後にワーカーへ報酬が支払われる「仮払い制度」を採用している点も要チェック。納品後に連絡が取れなくなったり不当な理由で支払いを拒否されたりした際は、運営の判断で報酬が支払われるため、不払い問題のリスクを大きく低減できる。
フリーナンスは、報酬の未払いや支払い遅れ等のトラブルのリスクを低減できるフリーランスに特化したお金と保険のサービス。内閣官房日本経済再生総合事務局が発表した「フリーランス実態調査結果(令和2年度調査)」によると、取引先とのトラブルで2番目に多いのが「報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかった(28.8%)」。フリーナンスは、報酬の未払いや支払い遅延による損害を抑えるサービスを提供している。
自分だけの収納代行用口座「フリーナンス口座」を開設し、振込口座に指定することで、「即日払い」を利用できる。即日払いは、請求書を買い取って、その代金を即日で指定の銀行口座へ振り込むサービス。手数料は請求書額面の3~10%で、フリーナンス口座への入金回数や入金額に応じて与信がアップし、手数料が安くなる。
また、仕事中の事故や納品物の欠陥が原因の事故に対する最高5,000万円の補償、偶然の事故による納期遅延や情報漏えい、著作権侵害等による事故の補償が付帯。さらに、病気や怪我で働けなくなった場合に、最長1年間の所得補償を受けられる「あんしん補償プラス」もオプションで提供。
その他、所定の条件のもとで入院した場合に、10万円の給付金を受け取れる「所得補償保険」、郵便転送つきの「バーチャルオフィス」等、さまざまなオプションが充実している点も要チェック。