ケース別転職対策
転職を成功させるコツとは?
ビジネスパーソンにとって、給料とは労働への対価であり、自分の仕事の価値や社会的な貢献度をはかる指標の1つです。
会社員の給与の伸び悩みが指摘される現在ですが、「いずれは結婚して家庭を持ちたい」「老後の不安を少なくするために安定した収入がほしい」など、将来を見越して現在の年収を増やすことを目標としている方も多いでしょう。
年収500万円というのは、住宅ローンを組む際にも、結婚して家庭を維持する際にも、ある程度の余裕を持って生活していくことができる水準です。
ビジネスパーソンとして年収500万円を目指している方は、まずは「年収500万円の実態」を把握しておくと良いでしょう。
たとえば、平均年収が500万円を超える業界や職種とはなにか、また、どの程度のビジネスパーソンが年収500万円を達成しているのか、実際に年収500万円を達成したとして、どの程度の手取りとなるのか(自分の思い描く生活を実現できるのか)など、年収の影に隠れている事実を知ることも大切です。
そこで今回は、「年収500万円の仕事」をテーマに、高収入の業界・職種の特徴や、転職で年収500万円を達成するためのヒントなどを解説していきます。
仕事の中には、もともとの給与水準が高い職種・業界があります。
本来であれば、報酬とは、ビジネスパーソンそれぞれの能力や企業への貢献度によって上下するものですが、給与水準の低い職種・業界よりも、給与水準の高い仕事のほうが、年収が上がりやすいことは紛れもない事実。
大手総合人材サービス「doda(デューダ)」が毎年実施している調査によると、平均年収が高い仕事は、金融や企画・コンサルティングなどの各種専門職、医療系の営業職、そしてITなどの技術系専門職です。これらは、年収500万円を大幅に上回る高い給与水準が特徴となっています。
これらはあくまで平均値であるため、実際の給料額は企業や個人ごとに異なりますが、専門的な知識・スキル・経験を活かせる仕事は、給与水準が高くなる傾向にあると言えるでしょう。
順位 | 職種名 | 職種分類 | 平均年収 |
---|---|---|---|
1位 | 投資銀行業務 | 金融系専門職 | 843万円 |
2位 | 運用(ファンドマネジャー/ディーラー) | 金融系専門職 | 720万円 |
3位 | 内部監査 | 企画/管理系 | 709万円 |
4位 | 戦略/経営コンサルタント | 専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 679万円 |
5位 | 業務改革コンサルタント(BPR) | 専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 678万円 |
6位 | 営業ー医薬品メーカー | 営業系 | 659万円 |
7位 | MR | 営業系 | 658万円 |
8位 | 知的財産/特許 | 企画/管理系 | 657万円 |
9位 | プロジェクトマネジャー | 企画/管理系 | 656万円 |
10位 | 会計コンサルタント/財務アドバイザリー | 専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人) | 647万円 |
ちなみに、公的な統計データを見てみると、国税庁が毎年実施する「民間給与実態統計調査」では、平均給与の高い業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」や「金融業、保険業」となっています。
dodaの仕事別ランキングと比較すると、「金融業」や「情報通信業」の優位性は同じですが、社会的なインフラやセーフティネットを担っている業種にも強みがあることがわかります。
順位 | 業種 | 平均給与 |
---|---|---|
1位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 824万円 |
2位 | 金融業、保険業 | 627万円 |
3位 | 情報通信業 | 599万円 |
4位 | 学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 518万円 |
5位 | 製造業 | 513万円 |
それでは、年収500万円を稼ぐビジネスパーソンの割合は年代によってどのように変わるのでしょう。
同じく民間企業・dodaの調査結果と、国税庁の「民間給与実態統計調査」の結果を見ると、年齢の若い世代ほど平均給与は低く、年代が上がるにつれて給与額も上昇する傾向にあります。
ただし、20代以外の年代ではいずれも、平均給与の額が、もっとも多い年収分布(中央値)を上回っています。
これは、数としては少ない高年収層(年収1,000万円超、年収2,000万円超など)に平均値が引きずられて上昇しているためで、より実態に近い年収は中央値を参考にすべきです。
とくに40代、50代では、中央値の「400~500万円」と、次点の「300万円~400万円」がほぼ同程度の割合となっており、必ずしも多くのビジネスパーソンが年収500万円を達成しているわけではない点に注意する必要があります。
年代 | 平均年収 | 年収データの内訳 | |
---|---|---|---|
20代 | 345万円 | 年収500万円以上(全体の10.2%) | |
男性:369万円 | 女性:319万円 | 中央値:300~400万円(38.5%) | |
30代 | 442万円 | 年収500万円以上(全体の32.6%) | |
男性:481万円 | 女性:375万円 | 中央値:300~400万円(27.4%) | |
40代 | 507万円 | 年収500万円以上(全体の45.9%) | |
男性:567万円 | 女性:401万円 | 中央値:400~500万円(20.9%) | |
50代以上 | 662万円 | 年収500万円以上(全体の60.0%) | |
男性:671万円 | 女性:428万円 | 中央値:400~500万円(15.6%) |
このような年収の実態は、働く人の年代だけではなく、男女の性別や雇用形態(正規・非正規)にも関係しています。
男性と女性の年収格差は大きく、また、正規雇用と非正規雇用の給与には倍以上の格差があります(下表)。
非正規雇用の割合は、給与所得者全体のうち男性が12.2%、女性は23.1%と決して少なくはありません。
年収は、他の数字と同じように、上を見はじめればきりがありませんが、年収500万円というラインそのものはビジネスパーソン全体でも高い部類に入り、達成できる業界・職種・企業などが限定されがちである点は覚えておいて損はないでしょう。
年代 | 平均年収 | 年収500万円以上 | |
---|---|---|---|
男性 | 540万円 | 全体の44.0% | |
正規:561万円 | 非正規:226万円 | ||
女性 | 296万円 | 全体の12.6% | |
正規:389万円 | 非正規:152万円 |
給料には会社から支払われる「総支給額」と、そこから税金や社会保険料などが差し引かれて実際に自分の口座に振り込まれる「手取り額」があります。
年収500万円の手取り額は、独身(扶養家族なし)の40歳以下(介護保険料なし)の場合で約390万円。ボーナスなしの月収換算であれば32.5万円前後となります。
ただし、社会保険料(厚生年金や健康保険)の額は年々増加傾向にあり、40歳からは介護保険料の支払いも加わるため、今後も手取り額は減っていくことが予想されます。
また、2020年の新型コロナウイルスに代表されるように、事業の悪化など不測の事態が起きることで収入が変動する可能性もあるでしょう。
年収は多いほど経済的な安定を実現しやすくなることは事実ですが、高年収を目指すだけで当初の目的(家庭を持つ、経済的な安定をはかるetc.)を達成できるケースは多くありません。
額面の給料からどのようなお金が差し引かれ、どのように使われているか、といった知識を持つこと、手取り額内で家計をやりくりし、貯蓄や投資を行うなどのマネーリテラシーを磨くことも非常に大切と言えるでしょう。
年収アップを実現する手段のひとつとして、転職を考える方も多いはず。
前述の通り、仕事には業界・職種によってある程度の年収傾向があることから、年収水準の高い業界を目指して転職し、年収アップをはかることも可能です。
ただし、転職では多くの場合、今までの仕事で培ってきた経験やスキルが重視されます。異業種や異業界への転職は、言わば初心者からのスタートとなるため、すぐに年収アップを見込める可能性は高くはないでしょう。
それでも転職が価値を持つのは、年収水準の高い業界・職種の中で、自分自身が強く興味を引かれる仕事がある場合。
高年収であるだけでなく、自分の興味や適正がある分野であれば、地道な勉強やスキルアップなどの努力を通じて転職を叶えることも、また、未経験からキャリアアップして年収を上げていくことも夢ではありません。
年収だけではなくキャリアの方向性についてもじっくりと考えたい場合は、転職エージェントの利用がおすすめ。できれば、幅広い業界・企業にコネクションを持つ大手の転職エージェントに相談をしてみると良いでしょう。
大手の転職エージェントは求人数も非常に多く、年収アップの条件を提示することで運良く希望条件に合致する求人にめぐりあえるケースも少なくありません。
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転職の意思が固まっていない場合でも、現在までのキャリアをもとにした転職可能性や今度のキャリアプランを相談できる。
転職をサポートするキャリアアドバイザーはそれぞれの業界に精通したプロが担当。個人での情報収集では限界がある企業の採用方針や現場の社風などの情報も聞けるため、転職を効率よく進めたい場合はぜひ活用したい。
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少子高齢化、人生100年時代、そして2020年の新型コロナウイルスのパンデミックと、先行きの見通せない状況が続いています。
不安定な時代に少しでも安心を得るために高い年収を求めるのは、ビジネスパーソンとして当然の望みでしょう。
ただし、現在の日本社会で年収500万円は多くの人にとって高めの目標であり、データを見れば必ずしも実現できている人ばかりではないことも理解できるはずです。
今回ご紹介した専門職や給与水準の高い業界を目指すことは戦略のひとつではありますが、副業でセカンドキャリアを築く、資産運用の勉強をはじめる、共働きを前提に家事や家計管理のスキルを身に付けるなども、これからのビジネスパーソンには求められるスキルでしょう。
年収500万円をひとつの仕事で達成するばかりではなく、ダブルワークや共働きも視野に入れたうえで、柔軟性の高いライフプランを築きましょう!