ケース別転職対策
理学療法士(PT)の転職。失敗しないために知っておきたい志望動機や転職理由の考え方とは?
病気・ケガなどにより身体に障害を負った人に対して、身体の機能回復や自立生活のためのサポートを手がける理学療法士(PT)。
人生100年時代とも言われる超高齢化社会を迎えた現在、身体機能のプロフェッショナルである理学療法士の活躍シーンは、日々広がりつつあります。
病院、クリニック、訪問看護、デイサービスなど、理学療法士の就職先はどんどん広がっており、それぞれの現場で詰めるスキルやキャリアも様々です。
現在の職場になんらかの不満(仕事内容、給与、人間関係、労働時間etc.)を抱えている場合、それを解消するための方法として転職を検討している方も多いはず。
他の多くの転職と同じく、理学療法士も、転職に際しては「転職の目的(改善したい部分はなにか)」「どのようなキャリアを築きたいか」を基準に、働く場所や仕事内容を決めていくことが大切です。
また、失敗しやすい転職のパターンや、転職に適した時期(求人が増える時期)、理学療法士専門の転職エージェントの情報など、転職周辺の知識も、しっかり把握しておくと良いでしょう。
そこで今回は、「理学療法士(PT)の転職」にスポットを当て、転職を検討中の理学療法士の方に役立つ様々な転職のノウハウを解説します。
理学療法士の求人は需要が供給を上回っており、次の入職先を見つけることそのものは難しくありません。
しかし、こうした「転職のしやすさ」に安心していると、転職に成功したものの、次の職場でも同じ理由で満足できなかったり、別の新たな不満が出てきたりと、思わぬ問題に遭遇する場合も。
失敗しやすい転職のパターンとは?
転職は、現状の不満を手っ取り早く解消するための有効な方法のひとつです。
しかし、不満の解消のみが目的となると、今の職場(不満の根源)から離れることはできても、次の職場で何をしたいかについて十分に考察しないまま、転職先を決めてしまうことにもなりかねません。
「給料が安いのでもっと稼げる職場が良い」「合わない上司・同僚から離れたい」など、転職を思い立つ理由は人それぞれですが、不満がきっかけとなった場合でも、次の転職先でどのように働きたいか、に関しては必ず一緒に考えるようにしましょう。
理学療法士のキャリアは、入職先の施設によっても大きく分かれます。
たとえば、急性期・回復期・維持期のどの段階に深く関わりたいか。多くの症例・治療を経験できる職場が良いか、それとも特定分野のスキルを極められるところが良いか。フルタイム勤務か、非常勤か。チーム医療で患者をサポートしたいのか、リハビリに特化したいか。つねに患者と触れ合える立場が良いか、マネージャーとして現場をマネジメントする立場を希望するのかなど、自分の興味や適性、築いていきたいキャリアによって、選ぶ職場は異なるでしょう。
転職を思い立ったときは、今までの業務経験を振り返り、どのような業務にやりがいを一番感じていたか、どの方面のスキルを伸ばしたいか、といったキャリアプランを立てることが大切です。
応募する施設が、自分自身のキャリアの希望に沿っているかどうかも、十分にリサーチしましょう。
せっかくキャリアプランを立てても、仕事内容や人員構成、評価制度などを十分に調べていないと、転職失敗の可能性が高まります。入職してから「こんなはずではなかった」とならないためにも、転職先のリサーチは必要不可欠。
理学療法士の転職を専門でサポートする転職エージェントを利用すると、各施設の情報や職場の雰囲気などを詳しく教えてくれることが多いので、情報収集の際は積極的に活用しましょう。
一般に、理学療法士の求人は、8~9月、2~3月頃に増える傾向があります。これは、4月・10月の入職に合わせて施設側が募集をかけるため。
また、ボーナス支給後も退職が増える傾向があるため、夏ボーナス・冬ボーナスの前後も転職に適した時期と言えるでしょう。
退職を伝える場合は、現在の職場の規定にしたがって、退職希望日から逆算した日までに告げるようにしましょう。
社内規則では2週間や4週間の告知を規定しているところが一般的ですが、引き継ぎや人員確保の関係によっては、2~3ヶ月ほど前に伝えたほうが良い場合もあります。
転職活動の要となるのは、なんといっても、履歴書や面接で応募先に伝える「転職理由」や「志望動機」です。
転職をしたいと思った理由(転職理由あるいは退職理由)、この施設で働きたいと思ったわけ(志望動機)は、どこの応募先でも必ず確認するため、適当に書くことや、両者の内容が矛盾しているような回答はNG。
転職したい理由は、必ずしもポジティブなものばかりではありません。中には、「労働時間が長い」「合わない上司・同僚・部下がいる」等、ネガティブな理由で転職を考えるケースも当然あるでしょう。
ただし、不満を解消するだけの転職がつまづきやすいことは、「失敗しないための心得」の項でも解説した通りです。
転職を考えたきっかけは不満だとしても、不満を解消した先に、どのような働き方をしたいのか、最終的になりたい理学療法士としてのイメージを固めたうえで、給料水準や職場の雰囲気、キャリア支援の体制など、自分の中の譲れない軸を定めていくと良いでしょう。
志望動機は、すべての応募先が、採用選考の中でもっとも重視する項目です。
「なぜ、うちの施設を応募したのですか?」という質問に対して、説得力のある回答をするためには、応募先について十分な企業研究を行う必要があることはもちろん、自分自身のキャリアプランをしっかり立てた上で、転職理由との矛盾にも気を配る必要があります。
志望動機で重要となるのは、自分自身の希望(スキルアップしたい等)を伝えるだけではなく、現在の自分のスキルで応募先にどのように貢献できるか、を具体的に説明できること。
そのため、今までの現場で経験した業務、身につけたスキル、チーム医療の場合は、他スタッフとの連携のとり方やチーム内での自身の役割をどのようにこなしたか等を、具体的な事例をまじえて説明できるようにしておきましょう。
転職理由・志望動機とも、一度自分で書き出して整理し、ふたつがきちんと流れでつながっているか等、矛盾の有無をチェックしてみるのがおすすめ。
初めての転職で自信がない場合や、自分の志望動機をブラッシュアップしたい場合は、転職エージェントのキャリアカウンセリングを受けるのもおすすめです。
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理学療法士は、リハビリ系の専門職であり、国家資格のひとつでもあります。
仕事を選ばなければ求人も多く、転職にそれほど苦労することはないと言えるでしょう。
しかし、キャリアや転職の軸を定めないまま、転職活動をはじめてしまうと、リサーチ不足などによって、せっかく転職をしても不満が解消できなかったり、転職理由や志望動機を問われたときに、あやふやな回答しかできなかったりと、転職そのものを失敗してしまうこともなりかねません。
理学療法士が転職を成功させるためには、事前にキャリアプランを立て、「これがやりたいから、ここに応募する」という、はっきりした志望動機を持っておくことが重要です。
また、給料や待遇など、自分の中に譲れない条件がある場合は、それをリストアップし、優先順位を考えておくことも有効です。
特に、転職エージェントに相談する場合は、そうした志望動機やリストが、キャリアアドバイザーに自分の希望を伝える際に役立つでしょう。
ご自身が選んだ理学療法士という仕事で、最適な職場を見つけ、やりがいを感じながら生き生きと働くために、今回ご紹介した転職のポイントも参考に、自分に合った職場との出会いを実現させましょう!