転職の流れ
今話題の退職代行サービスってどういうもの?デメリットはある?
退職代行サービスとは、本人に代わって会社に退職の希望を伝えるサービスです。
現在、日本の労働市場では人手不足感が強まっており、退職を希望する人が辞めにくい状況にあります。
辞めたいと申し出ても、「後任が決まるまでは」と引き止められたり、上司が退職を受け入れない等、退職にまつわるトラブルは少なくありません。
退職代行サービスでは、エージェントが本人に代わって退職の意思を伝えることで、退職手続きを円滑に進める効果があります。
上司や同僚との感情的なもつれを避けたい場合や、過労などの体調不良により、出社しての手続きが難しいケースでは、特に役立つサービスと言えるでしょう。
このように会社との気まずいやりとりを避けることができる退職代行サービスですが、利用する際は、デメリットも意識した上で活用したいもの。
今回は、人気が急速に高まっている退職代行サービスのメリットとデメリットを解説。
また、評判の良いおすすめの退職代行サービスの情報もご紹介します。
退職を考えているが、職場にどのように切り出すか迷っている、という方、退職代行サービスを利用するかどうかを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
退職代行サービスの最大のメリットは、エージェントがあいだに入ることによって、退職の希望を迅速かつ明確に伝え、スムーズな退職につなげられる点です。
たとえば、会社から「次が決まるまで辞めないでほしい」「引き継ぎがすべて終了するまでは退職できない」等の引き止めにあった場合も、相手が退職のプロと言えるエージェントであれば、強く申し出る会社は大幅に少なくなります。
退職代行サービスの多くは、即日退職にも対応しているため、次の転職先が決まっているにもかかわらず退職が困難な場合は、非常に利用価値が高いでしょう。
エージェントという第三者が、電話等で退職の希望を伝えるため、上司や同僚との感情的なもつれに発展しにくい点も大きなメリット。
特に、パワハラや社内いじめといった人間関係が原因で辞める場合は、会社の人と会わずに退職できるため、心理的な負担を和らげることができます。
また、退職代行サービスでは「残っている有給を消化したい」「離職票を郵送してほしい」といった希望を、エージェント経由で伝えてもらうこともできます。
「辞める」という負い目から、なかなか自分からは言い出しにくい有給消化ですが、本当はすべて消化してから次の仕事を探したい、という方は多いでしょう。
このような、本来は労働者の権利であるにも関わらず、社風や慣例によって歪曲されがちな退職の手続きをビジネスライクに進められる点も、退職代行サービスのメリットです。
なお、業者によっては、退職サポートに加えて転職支援サービスへの斡旋を行っているところもあります。退職代行サービスを経由して登録することで、転職が成功した際にキャッシュバックを受けられる場合もあるため、上手に利用すると良いでしょう。
退職代行サービスのメリット
その一方で退職代行サービスのデメリットとしては、利用に費用がかかる点が挙げられます。退職代行費用の相場は、おおむね3万円から5万円前後。
退職の難易度は、それぞれの退職のケースで異なるため、この相場が一概に「高い」「安い」と言うことはできないものの、退職の希望を伝えてすんなりと辞められる会社であれば、必ずしも必要な出費ではないと言えるでしょう。
反対に、上司や同僚との関係が悪い場合や、うつ・体調不良等で直接の対応が難しい場合は、心理的・肉体的負担を軽減するための「必要経費」と考えるのも選択肢の1つ。
ただし、退職代行サービスでは、会社が損害賠償請求などの法的手段をとった場合の対応ができないというデメリットがあります。
営利を目的として、訴訟などへの対応や仲裁・和解等を行うことができるのは、現在、弁護士資格を持つ者だけに限られており、それ以外の人が代理人として会社と交渉をすると「非弁行為」という法律違反に該当します。
そのため、退職代行サービスの多くは、この法律に抵触しないよう、会社に退職の意思や本人の希望を伝達することのみを行っています。
実際には、損害賠償請求には費用がかかるため、退職する社員を引き止めるためだけに会社が訴訟に踏み切るケースはほぼありません。
ただし、「会社から借金をしている」等、自分自身に法的責任を問われる可能性がある場合は、弁護士が提供する退職代行サービスに相談をしたほうが良いでしょう。
弁護士が常駐しない退職代行サービスの中にも、顧問弁護士に業務指導を受け、権限の逸脱が起こらないように留意している業者もあり、そのような退職代行サービスは法律違反につながる可能性が低いと言えます。
なお、退職代行サービスを利用する場合は、出社せずに退職するケースが多いため、後任者への引き継ぎ等が不十分になることがあります。
自分自身への直接のデメリットではないものの、転職活動をする中で、応募先の企業が「前職の辞め方」を確認するケースもあるため、留意しておくと良いでしょう。
退職代行サービスのデメリット
人手不足などの労働問題を受けて、現在、多くの退職代行サービスが登場しています。
ここでは数ある退職代行サービスの中でも、弁護士対応・実績がある・費用が割安といった観点から厳選した、おすすめの3社をご紹介します。
弁護士が直接提供する数少ない退職代行サービス。併設の「税理士事務所」「保険労務士事務所」との提携により、税務や労務についての相談にも対応。
弁護士が退職代行を行う法律事務所の強みを生かして、会社から退職拒否や損害賠償請求などを万一ほのめかされた場合の交渉にも対応することができる。
弁護士が対応する他の退職代行サービスと比較しても割安な料金設定が強み。
退職代行費用 |
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2017年5月からサービスを開始した退職代行サービスのリーディングカンパニー。新聞・雑誌・Web等のメディアで取り上げられることが多く、知名度の高さも大きな魅力。
転職支援サービスの「ワーク・ポート」と提携し、退職したあとの転職支援も行っている(EXIT経由で「ワーク・ポート」に登録し再就職した場合、退職代行にかかった費用を全額キャッシュバック)。顧問弁護士の指導を受け、退職代行を行っている信頼性の高い退職代行サービスの1つ。
退職代行費用 |
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正社員・アルバイトを問わず一律価格で退職を代行。退職代行の費用は29,800円(税込)と、他の退職代行サービスと比較しても割安な料金でサービスを提供。(※保険証や身分証の返却は本人が自分で会社に郵送する必要がある。)
退職代行を申し込むと行政書士が監修した「退職届」がもらえるだけではなく、有給消化のためのサポートを受けることができる。
退職代行費用 |
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退職とは労働者の権利であり、本来的には、会社側に退職を引き止める権限はありません。 しかし、現在の労働市場では、「自分の仕事を放り出して辞めるのは申し訳ない」という労働者側の倫理観や、「働き手が集まりにくい」といった企業側の事情が複雑に絡みあうことで、辞めたくても辞められない状況が生まれていることも、また事実です。
辞められない状態が長く続き、働き手の消耗が激しくなると、本人のつらさが増すだけではなく、次の仕事に就くまでに長い時間がかかり、日本経済全体にも大きなマイナスに。
複雑な利害関係や人間関係のしがらみを断ち切るためには、退職代行サービスのような第三者に強制加入してもらうことが必要なケースも少なくありません。
その一方で、退職を取り巻く状況はケース・バイ・ケースのため、退職代行サービスは必ずしも、すべての転職者に必要なサービスではないことも事実です。
現在、退職に悩んでいる方は、消耗戦を避けて次の転職に踏み切るために、今回のメリット・デメリットも参考に、必要に応じて退職代行サービスを活用してみてはいかがでしょう。