ケース別転職対策
DX推進求人に未経験から応募しチャンスを掴む方法
2021年9月1日にデジタル庁が発足し、これまでなかなか改革が進まなかった行政のデジタル化が進展しつつあります。民間企業は特にテクノロジーの活用に関しては、常に行政の一歩先を歩むもの。民間企業では、業界や企業規模の大小を問わず、業務のDX化がもはや必須タスクの言って良いでしょう。
このDX化の進展に伴い、需要が急速に高まっているのが「DX推進人材」です。現在、転職を検討している方の中には、この「DX推進人材」が気になっている方も多いはず。
「DX推進人材」とは、データサイエンスのプロやエンジニア、プログラマのことだけではありません。機械学習やAI、ブロックチェーンなどの先端技術に知見がある方や、ネット関連ビジネスのマネジメント経験のある方、ITを活用したコンサルティング経験のある方であれば、DX未経験であっても十分採用される可能性のあるポジションです。
今回の転職活動の歩きかたでは、注目が集まるDX推進人材について徹底解説。そもそもDXとは何か、DXが目指すものや、DX推進人材として活躍できる職種例、求められるスキルや経験についてわかりやすく解説します。また、未経験からDX推進求人に応募し、転職を成功させるコツや、おすすめの転職エージェントについての情報も。
DX推進人材への転職を検討している方や、DXについて知りたいと考えている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
未経験からDX推進人材に転職する場合、DXとは何か、DXが目指すものとは何かをしっかりと理解しておくことが重要です。
まずは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本をおさらいしましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術やデータを活用し、企業のビジネスモデルを変革することです。
経済産業省の「DX推進指標 (PDF)」によると、DXの定義として、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」における「デジタル」とは、データに基づく判断や、事業戦略・マーケティングのデジタル化のこと。単なるIT化による業務改善・効率化ではなく、データ分析を通して課題を発見し、ビジネスモデルの変革を目指します。
一方で、「トランスフォーメーション」とは、仕組みそのものを変えること。デジタル技術を用いて、ユーザーエクスペリエンスにおいて、どのような価値を生み出すかが重視されます。「新たな顧客体験を創造する」、「顧客の体験価値を問い直し、本質的なものに変える」といった、ビジネスモデルの変革と創造がDXの目的です。
DX が目指しているものは、「デジタル技術を活用し、新たなビジネス価値を創り出すこと」です。そのため、DX未経験であっても、プロジェクトのマネジメント経験や、IT分野におけるコンサルティング経験があり、業務の変革を担える人材であれば、採用される可能性が高いと言えます。
DX推進人材には、2021年現在、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が定めている職種があります。これはあくまで目安であり、必ずしもこれらの職種のみがDX推進人材として募集されているわけではありません。また、DX化が進むにつれて、さらに新しい職種が増えていくことも考えられますが、基礎知識として覚えておくと良いでしょう。
プロダクトマネージャー | DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材 |
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ビジネスデザイナー | DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 |
テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト) | DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材 |
データサイエンティスト | 事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材 |
先端技術エンジニア | 機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材 |
UI/UXデザイナー | DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材 |
エンジニア/プログラマ | システムの実装やインフラ構築・保守等を担う人材 |
DX推進求人の需要はどんどん高まっていますが、ここ数年で生まれた新しい職種のため、DX推進の経験者や、DX推進に直結したスキルを持つ人材はまだまだ少ないのが現状です。
そのため、データのスペシャリストやDX経験者に限らず、未経験者にも採用の道は開かれています。なぜならDXは、IT技術そのものを指すのではなく、ITを活用し、事業に変革をもたらすことを目的にしているから。つまり、ITを活用した何らかの「改善」「変革」に関するプロジェクトで活躍できる素養を持った人であれば、DX推進人材としても採用される可能性があります。
データサイエンスの知見を持つ専門職や先端技術のエンジニア・プログラマに限らず、ITを活用したプロジェクトを通して、新たな価値や顧客体験を創造した経験を持つ人材は、需要が高まっています。課題意識を持ち、主体的に改善の工夫を行ってきた経験・スキルをアピールできれば、DX未経験でも転職を成功させることができるでしょう。
DX推進求人に応募する際は、DX推進企業において求められる人物像や、スキル・知識をしっかり把握し、志望動機や自己PRに説得力を持たせましょう。
経済産業省の「DXガイドライン」によると、DX推進人材は、「DX 推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材」と定義。また、「各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材」とされており、組織において、極めて重要な人材であることがわかります。つまり、単なる業務のデジタル化や、データ分析自体がゴールではなく、既存の業務内容をそれらのデジタル手法によってアップデートし、新たな取り組みや価値の創造をリードすることのできる人材が求められているのです。
また、IPAの「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査(2020年)」によると、DX推進人材には、「課題設定力」や「主体性・好奇心」に加え、重要な因子として、以下の6つのポイントを設定しています。
新しい分野への取り組みを厭わず、課題を自ら設定して挑戦する姿勢や、当初の計画にこだわりすぎず、臨機応変にマネジメントするスキル、企業や業種の枠組みを越えて、外部と積極的に関わり、新しいものを創造する「巻き込み力」などが、DX推進人材に求められるスキルと言って良いでしょう。
DX推進人材として活躍するためには、専門分野の知識はもちろんですが、ビジネスパーソンとしての広い視野や柔軟性、チャレンジ精神やマネジメントスキルが必要です。
一言で「DX推進人材」と言っても、DX推進人材が担う仕事は、企業や事業内容、ポジションによって異なります。DX推進人材の求人に応募する際は、求人票の募集要項を確認し、自分の経験やスキルにあったポジションかどうかを確かめることが大切です。
DX推進人材に求められる具体的なスキルや知識、経験についてもチェックしておきましょう。
1データ分析のスキル
DX推進人材に求められるスキルとして、まず挙げられるのはデータサイエンスに関する知見です。「どのようなデータを収集すべきか」、「データを収集する方法」、「集めたデータをどのように分析し、活用するか」等、データ分析に関するスキルは、DX推進において、最も需要の高いスキルと言えるでしょう。
データサイエンティストやデータアナリストとしての実務経験がなくとも、エンジニアやプログラマーとしてのデータ分析に関するプログラミング経験があると、転職活動の際、有利になります。データ分析に関する知識が全くない場合は、転職活動を始める前に、最低限の知識を身につけておくのがおすすめです。
2先端技術に関する知識
AIや機械学習、ブロックチェーンなどの先端技術に関する知識や技術も、DX推進人材に求められるスキルの一つです。Python、R言語といったプログラミング言語や、AI技術、ディープラーニングへの知見は需要の高いスキル。エンジニアやプログラマーとしての実務経験を活かしてDX推進人材への転職を目指す際に、強いアピールポイントとなります。
ただし、DX推進人材は、「プログラミング技術をどのように使い、新しい価値を創造することができるか」という点が重視されます。専門知識や高い技術力だけでなく、課題設定力や主体性に関しても絡めてアピールすることが重要です。
3分析したデータを使い、新しい顧客体験・価値を生み出すスキル
プロジェクトマネジメントやコンサルティングを担うDX推進人材に求められるのは、自らが関わる職務に関連するデータをマネジメントできるスキルです。DX推進の現場では、「データ分析やデジタル技術を用いて、何ができるかを理解しているスペシャリスト人材(=データサイエンティスト、エンジニア等)」と「業務内容を深く理解し、アイデアを出すことができる/マネジメントができる人材」の融合が求められます。
プロジェクトリーダーやマネージャー候補として、「データ分析の結果をどのように現場に反映していくかを考え、プロジェクトを推進するスキル」があることをアピールしましょう。
DX推進人材への転職に限らず、未経験職種への転職を成功させるためには、ポイントを押さえた上で、事前準備にしっかり取り組むことが何より重要です。以下では、DX推進人材へ転職する際に、チェックしておきたい準備のポイントを解説します。
ポイントその1スキルの棚卸し
DXの経験がない場合、DX推進人材に求められる素養やスキルをしっかりと理解し、自分の経験やスキルと照らし合わせた上でアピールポイントを見つけることが重要です。マネジメント経験やコンサルティングのスキルなども含め、自分が今まで取り組んできた仕事で得た経験やスキルの棚卸を行い、DX推進人材に求められるスキルや経験につながるアピールポイントを見つけましょう。
ポイントその2データ分析や先端技術に関する基礎知識を身につける
DX推進人材として働く以上、スペシャリストではなくとも、データ分析や先端技術の知見等、業務に必要となる基礎知識を身につけておきましょう。プロジェクトのマネジメント経験やコンサルティング経験を活かしてDX推進人材に転職する場合、プログラミングスキルは必須ではありませんが、業務の課題分析や問題解決の知識が求められます。
ポイントその3志望企業の業界・業務内容への深い理解
DX推進人材として働く以上、スペシャリストではなくとも、データ分析や先端技術の知見等、業務に必要となる基礎知識を身につけておきましょう。プロジェクトのマネジメント経験やコンサルティング経験を活かしてDX推進人材に転職する場合、プログラミングスキルは必須ではありませんが、業務の課題分析や問題解決の知識が求められます。
未経験からDX推進人材への転職を目指すには、「①IT業界に強い転職エージェント」、「②ハイクラス転職に特化した転職エージェント」、「③未経験転職に強い/取り扱う業界が幅広く求人が豊富な転職エージェント」のいずれかの活用がおすすめです。
IT業界に強い転職エージェントは、エンジニアとしての実務経験がある場合や、データサイエンスの知見があり、データ分析の分野でDX推進人材への転職を考えている場合に活用すると良いでしょう。
プロジェクトのマネジメント経験やコンサルティングの経験・スキルを活かして転職したい場合は、ハイクラス転職に特化した転職エージェントを活用するのがおすすめです。
また、未経験からDX推進人材への転職を検討している場合、未経験転職の支援実績があり、取り扱う業界が幅広く、求人を豊富に取り揃えている総合系の転職エージェントを利用すると、効率よく転職活動に取り組むことができます。
以下では、DX推進人材への転職におすすめの転職エージェントを3社厳選。各社の特徴をご紹介します。未経験からDX推進人材への転職を検討している場合は、これらの転職エージェントを上手く使いこなし、効率よく転職活動に取り組みましょう。
レバテックキャリアは、レバレジーズが運営する、IT・Web業界に特化した転職エージェント。DX推進人材の求人も充実しており、社内DX推進リーダーや、DX推進にかかわるコーポレートエンジニア、アプリケーションアーキテクトなど、技術者向けのDX推進求人が豊富。
ちなみに、2021年10月現在、レバテックキャリアは、ITスキルが全くない未経験の方のエンジニアへの転職サポートは受け付けていない。ただし、個人でプログラミングの経験があり、資格を取得している場合等は、未経験者のサポートも行っているため、スキルに自信があれば、一度相談してみると良いだろう。
レバテックキャリアでは、求人の選定はもちろん、選考のサポートも充実。企業が採用で重視するポイントを抑えたオリジナル資料「面接詳細」を配布しているほか、職務経歴書の添削など、手厚いサポートを提供している。
拠点は東京、名古屋、大阪、福岡の4か所。対応地域がやや限られる点には注意が必要だが、Web面談または電話面談での登録も受け付けており、対面面談なしで登録することができる。利用者の評判が総じて高く、求人数も豊富なレバテックキャリアは、一定のITスキルを持っており、DX推進人材への転職を考えている方にとって、利用する価値がある転職エージェントと言えるだろう。
リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営するハイクラス専門の転職支援サービス。利用者の属性を原則年収600万円以上に設定しており、30代後半から40代、50代の利用が最も多い。取り扱う求人は、他の転職サイトや転職エージェントでは取り扱いの少ない、秘匿性が高く、条件の良い求人が充実。実際にサービスを利用したユーザーの満足度は極めて高い。
DX推進求人も多数取り扱っており、DX推進の経営企画や、マネージャー候補、DXコンサルタント、ビジネスアーキテクト等、条件の良いハイクラス求人が豊富。
ちなみに、リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが直接求人や転職支援サービスを提供するのではなく、リクルートダイレクトスカウトに登録を許可された一流のヘッドハンターが求職者のプロフィールをチェックし、ヘッドハンティングを行っている。登録しているヘッドハンターは1,000名以上、公開求人は7万3,426件以上(2021年10月)となっており、ハイクラス向けの転職支援サービスでは、最大の規模。
登録できる年収に一定の制限がある点には注意が必要だが、DX推進人材のなかでも、マネージャー職やプロジェクトリーダー等の条件の良い求人の紹介が期待できる。リクルートダイレクトスカウトは、30代後半~40代、50代でDX推進人材への転職を目指している方であれば、利用を検討すべきサービスだろう。
リクルートエージェントは、リクルートが運営する転職エージェントの最大手。2021年10月現在、公開求人は約31万3,778件以上、非公開求人は約18万3,896件以上と、業界最大の求人数を誇っており、ほぼ全業種・全職種の求人をカバーしている。DX推進Webディレクターや、DXコンサルタント、DX推進のIT企画、データマーケティングプランナーなど、DX推進人材関連の求人も豊富。
リクルートエージェントでは、求職者一人一人に専任のキャリアアドバイザーがつき、細やかな転職サポートを行ってくれる。求職者の志望業界に特化し、知識と経験を豊富に持つキャリアアドバイザーが、応募書類の添削から求人の紹介、面接対策、面接日程の調整や年収交渉までしっかりとサポート。2021年10月現在、オンライン面談または電話面談での登録にも対応している点も嬉しい。
幅広い業種の求人を取り扱い、未経験職種への転職サポートも充実しているリクルートエージェントは、未経験からDX推進人材への転職を考えている方であれば、まず登録を検討したい転職エージェントの一つだろう。
DX推進人材は、これからのデジタル化が進む社会において、重要な役割を担う、やりがいのある職種です。DX推進企業では、ITを用いて新しい価値を創造し、企業や業務に変革をもたらす人材が求められています。データのスペシャリストや、AI・ブロックチェーンといった先端技術のエンジニアだけでなく、プロジェクトのマネジメント経験や、IT分野のコンサルティング経験のある方は、DX未経験であってもDX推進人材として活躍できる可能性は十分。
DX推進求人に興味のある方や、DX推進人材への転職を検討している方は、本特集も参考に、DXについて理解を深め、DX推進人材への転職を成功させましょう!
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