ケース別転職対策
時短勤務を希望する人が知っておきたい、転職成功のポイント、転職サイトや転職エージェントの上手な使い方を解説
子育てや家族の介護等で、時短勤務ができる会社に転職をしたい、という方は増えています。
今現在、すでに時短勤務を利用中の方もいれば、今の会社では時短勤務ができないので転職をしたい、と考えている方もいるでしょう。
様々な事情により、フルタイムでの勤務が難しい場合、時短勤務で働ける職場に正社員として転職をすることは可能なのでしょうか?
結論から先に言えば、時短勤務での転職は、通常の転職よりもハードルは上がるものの、決して不可能ではありません。
現在の転職市場を分析すると、求人数は増加傾向にあり、労働者に対する企業のニーズは高まっています。また、働き方改革や女性活躍推進のムードも追い風になっており、一昔前よりも、時短勤務に対する企業の柔軟性は向上していると言えるでしょう。
そこで今回は、「時短勤務できる転職先の見つけ方」に注目。時短勤務で働ける職場へ転職したい方のために、求人の探し方や転職活動のポイントについて解説します。
時短勤務ができる求人は、転職市場全体の求人総数からみると、その割合は決して多くはありません。
それでも、求人を探す場合の窓口として、大手の転職サイトや転職エージェントは、積極的に利用すべきツールと言えるでしょう。
転職サイトでは、「時短勤務可能」「子育てママ活躍中」などの条件で求人を絞り込むことができます。
まずは、ご自身の志望する業界・業種で、時短勤務の可能な求人がどの程度あるか、全体のボリューム感をチェックしてみましょう。
転職サイトの検索機能を活用すると、求人の数だけでなく、時短勤務や子育てに理解の深い企業はどこなのかを具体的に知ることもできます。例えばサイトのリコメンド機能によって、傾向の似た求人がピックアップされたり、スカウト機能を利用して企業からのオファーを受けとることもできるので、これらのサービスも上手に活用しましょう。
リクルートグループが運営する日本最大級の転職サイト。圧倒的な求人数と手厚いスカウトサービスで転職活動をサポートする。毎週の新着求人数は5,345件を越えることもあり、転職活動をスタートする際は最初に登録しておきたい転職サイトの1つ。自分の強みを整理するための「グッドポイント診断」などの転職ツールも提供している。
自分で求人を検索し、条件を満たす求人に応募する転職サイトと異なり、転職エージェントでは、求職者と企業の間にキャリアアドバイザーが入り、両者を取り持ちます。
転職エージェントに登録する際に行う面談では、今までのスキルや経験、希望する仕事内容などを聞かれるため、職務経歴をしっかりと伝えるととともに、時短勤務のできる仕事を探していることも伝えましょう。
転職エージェントの特徴は、希望の条件を満たす求人のピックアップと企業への求人応募を、求職者本人に代わりキャリアアドバイザーが行う点です。キャリアアドバイザーという第三者から自分の強みを客観的に伝えてもらうことで、「時短勤務を希望しているが、これだけのスキル・経験がある」等、今までの経歴に焦点を当ててアピールしてもらうことができます。
また転職サイトにはない転職エージェントが独自に保有する「非公開求人」にアクセスすることもできるので、利用するメリットは転職サイト以上に大きいでしょう。
派遣大手パソナグループの人材紹介会社。派遣部門で培った豊富な情報と企業へのパイプを武器に、業界トップクラスの3万9,661件以上の求人を取り扱う。女性の正社員転職に強く、キャリアアドバイザーのサポート力は利用者からも高い評価を得ている。東京や大阪など、全国に94拠点(2016年11月末時点)がある。
転職を成功させるためには、自分の強みとやりたいことが明確になっている必要があります。時短勤務の転職であっても、その基本は変わりません。
まずは、アピールできる資格やスキル、専門知識、今までの業務経験などを整理し、自分の強みとして落とし込みましょう。これらの強みを活かし、自分がどのようなことを実現したいのかをはっきりさせておくことも大切です。
また、一口に時短勤務といっても働き方は様々。テレワーク等による自宅作業も含めるのか、それとも、仕事はいっさい家庭に持ち込まないようにするのかによっても、応募する企業の基準は変わるでしょう。
自分の強みをどのように活かし、時短勤務という枠組みの中でどのように働いていくかを、できる限り具体的にシミュレーションしてみましょう。
なお、意外に盲点となりやすいのは、時短勤務が終了したあとのキャリアプランです。子育てや介護が一段落し、時短勤務からフルタイムに戻ったあとの働き方を想定しておくことも大切です。
時短勤務の転職で、もっともネックとなるのが、「就業時間が短い」「残業ができない」といった、労働時間に関する問題です。事実、時短勤務を希望する方であれば、なんらかのかたちで労働時間が制限されるケースがほとんどでしょう。
このハンディキャップを埋めて転職を成功させるためには、転職者一人一人の努力もさることながら、応募の段階で、労働時間の長さではなく、生産性と仕事の質で従業員を評価する企業を選ぶことも大切です。
たとえば、歩合制や裁量労働制は、過度なノルマや長時間労働のイメージが強く敬遠されがちですが、成果をあげれば、それに見合った評価を受けられる企業もあります。もちろん、求人で時短勤務者を募集している企業も、一つの目安となるでしょう。
ただし、企業内の時短勤務者の実態(本当に評価をされているかどうか)は、外部から調べることが難しい場合もあります。転職エージェントは、企業の内部情報にある程度明るいことが多いため、自分で調べることに限界がある場合は相談をしてみると良いでしょう。
前述の通り、時短勤務の求人は、フルタイム求人と比較すると、どうしても数が限られます。
そのため、本気で転職を成功させたい場合は、ある程度の時間と粘り強さが欠かせません。
複数の転職サイトや転職エージェントを活用し、できる限り広くアンテナを張りながら、様々な求人にアクセスしてみましょう。
また、転職のテクニックとして、最初から時短勤務希望を前面に出すのではなく、書類選考等で感触の良かった企業にポイントを絞り、条件交渉を切り出す、というのも1つの方法です。
残業や時間外労働についても、まったくできない、と固持するのではなく、家族やシッターサービス(介護サービス)等を利用して、できるだけ柔軟に対応する姿勢を見せるなど、工夫をしてみると良いでしょう。
時短勤務の転職で、正社員として転職することができれば、それがベストです。
しかし、もしも「正社員という身分」(=雇用の安定性)よりも「働き続けること」(=実務期間や直近の収入)のほうが、優先度が高い場合は、派遣社員という働き方を選ぶのも1つの選択でしょう。
派遣社員とは、労働者が派遣会社と雇用契約を結び、企業に出向するかたちで働く雇用形態です。仕事内容や労働時間は、企業と派遣会社の契約によってあらかじめ決められているため、業務外労働や残業などは原則的にありません。
かつては、交通費支給なし(時給に含まれる)の案件がほとんどを占めていましたが、2018年4月以降、大手派遣会社を中心に、無期雇用の派遣社員に対して交通費支給を進めるなど、派遣社員の待遇は改善されています。
大手派遣会社の多くは、社会保険や研修制度、一定の福利厚生も整備しているため、派遣社員と言っても待遇においては正社員に準じた環境で働くことが可能。「労働時間が制限される中でも、仕事は続けたい」という方は、検討してみると良いでしょう。
リクルートグループが運営する人材派遣会社。大企業・優良企業の案件が多く、スタッフのサポート体制にも定評がある。派遣社員は、通常の健康保険よりも保険料が割安な「リクルート健康保険」に加入でき、出産育児一時金などの受給も可能。スキルアップ支援はeラーニングやOA研修、提携スクール紹介など豊富に用意されている。
世界最大級の人材総合サービス企業・アデコが運営する人材紹介会社。通常の派遣のほか、正社員雇用を前提とした「紹介予定派遣」、雇用期間を定めない「無期雇用派遣」の案件も豊富。IT・エンジニア系の派遣にも強い。全国100ヶ所以上の拠点を持ち、UターンやIターンの派遣にも対応している。
時短勤務の転職は、「時短勤務」という雇用形態に対する企業の態度にばらつきがあることから、一般的な転職よりも難易度は高くなります。
しかし、共働き世帯の増加や少子高齢化によって、育児や介護で時短勤務を希望する人の数は今後も増えていくでしょう。
このような労働者間のニーズの高まりや、社会全体の働き手不足を背景に、今後は企業側も、徐々に、時短勤務を考慮した採用を強化していくことが予想されます。
現在はまだ、フルタイム勤務と比較すると「狭き門」の印象がぬぐえない時短勤務での転職ですが、一部の企業ではすでに、時短勤務者であっても積極的に採用する姿勢を打ち出しています。
様々な事情から時短勤務のできる転職先を探している方は、今回ご紹介した転職のポイントや、各種の転職サービスを活用し、ご自身のワークライフバランスを実現するための転職に一歩踏み出してみてください。