ケース別転職対策
筆者の体験談とメリット、デメリット
看護師として仕事を続けてきた人にとって、一般企業は未知の領域です。
転職を考えている方の中には、「病院ではなく一般企業を選ぶメリットは何だろう?」「できればデメリットも知っておきたい」と考える方も多いはず。
筆者が一般企業に転職した際は、最初右も左も分かりませんでした。様々な情報を調べ、迷い、試行錯誤した結果、第一希望の企業へ転職することができたのです。
そこで本記事では、看護師から一般企業へ転職する方法について、筆者の体験談を交えながら解説します。ぜひ希望の転職を実現するための計画作成に役立ててください。
この記事をおすすめする人
自己紹介
筆者は現在、社会人8年目/看護師7年目です。
一度一般企業に転職した後、病院に戻り、現在は看護師として働いています。
これまでの転職経験
転職を考えた一番の理由は、当時「自分に看護師は向いていない」と思ったからです。
本格的に動き始めたのは看護師2年目に入ってから。
がむしゃらに勉強していた1年目が終わり、仕事に慣れてきたタイミングで、「楽しくない」と感じるように。「もっと他に楽しく働ける仕事があるのでは?」と思うようになり、看護師以外の仕事を経験してみたい気持ちが高まります。
一般企業で働いている友人と話し、刺激を受けたことも理由の1つです。
結果的に看護師に戻ることにはなるのですが、当時は「もう看護師はやらないだろう」と周囲にも伝えていました。
筆者の場合、転職先の選択肢は以下の2点を軸に考えました。
当時は大阪に住んでいましたが、一人暮らしだったため、住みたい場所を自由に選べたのも理由の1つ。未経験で採用してもらえるところなんて滅多にないだろう→選択肢が多そうな東京で探そう!という流れで、「東京」を条件に加えます。
業界や職種にこだわりはなかったため、求人探しはまさにゼロからのスタートです。
様々な求人情報を見ながら、自分の「楽しそう」という感覚を紐解いていくと、「ミッション・ビジョンへの共感」というポイントに行き着きました。これを軸にして、スタートアップを中心に情報収集を開始。その結果、大企業よりもスタートアップの方が、会社のミッション・ビジョンが具体的で分かりやすい傾向にあると思うように。
求人探しに使用したサービスは以下の3つです。
転職支援サービスは数多くありますが、取り扱う求人の特徴や探し方も多種多様です。やみくもに登録するよりも、まずは各サービスの特徴を把握した上で利用することをおすすめします。
転職エージェントとは、転職希望者にキャリアカウンセリングを行い、条件に合った求人を専任のキャリアアドバイザーが紹介するサービスです。履歴書や職務経歴書等、応募書類へのアドバイス、面接の日程調整や企業との条件交渉など、様々なサポートを受けることができます。筆者の場合、検索で最上位だったリクルートエージェントに申し込みました。
UZUZは、20代既卒・第二新卒向けの人材紹介会社で、知人からの勧めで利用しました。「オーダーメイド型」「共感性の高い」就業サポートを掲げており、カウンセリングではかなり濃い内容の話ができました。求人への応募には至りませんでしたが、自分の考えを言語化する上で、とても役に立ったサービスです。
筆者は最終的にこのWantedly経由で、一般企業への転職を実現しました。Wantedlyは、正確に言うと人材紹介ではなく、「ビジネスSNSサービス」です。その最大の特徴は、企業のミッションや価値観へ「共感」した求職者とのマッチング。転職エージェントを仲介せず、求職者が直接企業の採用担当者と連絡をとり、会社訪問や面談の希望を伝えることができます。規模が小さい会社であれば、創業者と直接話せるチャンスが多いのも大きな魅力です。
筆者の場合は、求人を探しの開始から転職成功まで約半年間でした。
上記転職サイトでの情報収集に加え、看護師以外の仕事をしている知人にも話を聞いて回りました。ふとした会話の中で、転職活動を進める上で役立つヒントがもらえることも。筆者が特に印象に残っているのは、知人の「仕事が好きかどうかはその"作業"が好きかどうかによる」という言葉です。確かに、いくらやりたい仕事でも、実際に手を動かす過程が苦手では続きづらいもの。この言葉に納得し、面接時は「仕事で実際にやるのはどんな作業ですか?」という質問も組み込んでいました。
転職を決めたとして、「いつまでに辞める意思を伝えれば良いのだろう?」という疑問にぶつかる方も多いはず。
退職の申し入れについて3つのポイントを解説します。
1 就業規則の「退職を伝える時期」
まずは現在の病院の就業規則を確認しましょう。定期的に行われる動向調査で退職意思を表明する方法もあります。就業規則に記載されている期限までに退職を申し入れ、所属部長との面談を設定してもらいましょう。
2 1-3ヶ月前
一般的には、遅くても1️か月前までの申し入れが望ましいとされています。筆者は退職の3ヶ月前に師長に面談を希望し、「辞めたいです」と伝えました。退職にあたっては、欠員補充・引き継ぎ・有給消化のためのシフト作成など、様々な調整が必要です。円満退職を実現するためにも、余裕をもった行動をおすすめします。
3 2週間前
法律上は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」とされています。※1(※無期雇用の場合)急ぎ退職しなければならない特別な事情がある場合は、法律で定められている2週間を期限として動きましょう。
応募・面接などにかける期間も、3ヶ月程度を見込んでおきましょう。特に、在職中に転職活動を始める場合は、休みの日を使いスケジュールを組まなければなりません。仕事の休みと面接の候補日程が合わないと、過密スケジュールになってしまうので注意しましょう。余裕をもった日程調整をおすすめします。
最初は転職エージェントの最大手「リクルートエージェント」に登録し、キャリアアドバイザーによる求人紹介サービスを利用しました。しかし、担当の方と話が上手く噛み合わず、なかなか希望の条件を満たす求人に辿り着けなかったのが苦い記憶です。筆者自身、この段階では次にどんな仕事をしたいか、自分の気持ちを言語化できていなかったことが原因だと思います。転職エージェントを利用する際は、希望する条件を具体化した上で、担当のキャリアアドバイザーと話した方が、効率良く希望の求人の紹介を受けられるでしょう。
自己分析は、一般的には新卒での就活の際に取り組むものですが、看護学校/学部卒→看護師に就職すると、その機会がありません。正直、自己分析がこんなに苦しい作業だとは想像していませんでした。自分の強み弱みと徹底的に向き合うのは、ある種修行のようなものです。しかし、分析結果は転職活動の要となります。覚悟をもって取り組むことをおすすめします。
看護師から一般企業への転職における一番のメリットは、ビジネス感覚を身につけられる点。
医療機関は、現場で働く看護師にとっては分かりづらいビジネスモデルです。
そのため、利益やコストに関する意識が低い方が多いように感じます。筆者自身も、転職前は病院の損益など、ほとんど気にしていませんでした。
しかし転職後は、自分の組織の損益はもちろん、世の中のビジネスモデルがどのように成り立っているかも気になるようになりました。
これは看護師に戻った今でも、日常業務におけるコスト意識として役立っています。看護師特有の「世間知らず」を脱却する上で、一般企業への転職はとても有効です。
医療現場と企業オフィスでは、仕事の性質が大きく異なります。
ビジネスモデルも、働く場所も、接する人も、そもそもの文化が違うのです。
その違いを実感した上で、筆者が改めて看護師に再転職したキーポイントは、こんな疑問からでした。
「"この仕事は誰かのためになっているのだろうか?"という葛藤に耐えられるか」
これがネックになり、最終的には看護師に戻ることを決意します。とても極端な表現ですが、営業メールの作成中に「このメールを送らなかったところで誰も死なないな」と思ってしまったのです。一度そう思うと、自分が仕事をする意味を見出だせなくなってしまいました。その仕事が顧客に価値を提供したり、会社の利益に繋がったりすると頭では理解していても、自分自身の動機づけにはならなかったのです。
看護師なら、その疑問に悩む必要はありません。「やらなければ患者の容態が悪くなるからやる」のであって、「誰かのためになっているのか」という疑問を挟む余地はないのです。一般企業での仕事を経験したことで、この医療職ならではの性質・文化が、自分の性に合っていることに気づきました。
ダイレクトに命に関わるという点で、医療職は特殊な存在です。転職時には、それぞれの仕事の性質が自分の性格とどの程度合致しているか、十分に考えるべきでしょう。
一般企業にいたのは1年でしたが、「転職は成功だった」と自信をもって言えます。転職によって、自分が仕事をする上で譲れないものが明確になりました。かつては「もうやらないだろう」と思った看護師の仕事も、今では「結局これが性に合っているのかも」と感じています。一度看護師を離れなければ、この納得感は絶対に得られませんでした。
看護師の強みは「いつでも看護師に戻れる」こと。国家資格を保険にして、思い切って新しい世界にチャレンジするのも選択肢の1つです。医療機関を飛び出せば、必ず視野は広がります。この記事を読んでいただいたあなたの転職活動が、良い体験になるよう心から応援しています。
本サイトにはプロモーションが含まれます。