ケース別転職対策
転職もしたいけどマイホームも考えたい、という方は必見!転職のあとのライフプランを考えよう
転職は、より良い働き方を実現するための有力な手段の1つ。キャリアアップや職場環境の改善を求め、転職を検討しているという方も多いのではないでしょうか。
その一方で、転職が活発な20代から40代では、結婚や出産といったライフイベントも多くなります。家族構成やライフスタイルが変化するこの時期に、住宅購入を考えはじめる方も少なくありません。
転職を検討すると同時に「そろそろマイホームも……」と考えている方にとっては、転職後すぐに住宅ローンが組めるかどうかは非常に気になるポイントでしょう。
一昔前まで、転職をした人が住宅ローンの審査を通過するためには、転職先の会社で1~3年以上働き、勤務実績を作る必要があると言われていました。
しかし、転職がめずらしくなくなった現在は、転職後すぐであっても住宅ローンの申し込みを受け付ける金融機関も出てきています。
とはいえ、住宅ローンの審査において、金融機関が申込者の「勤続年数」を重視する傾向は依然として強く、転職後すぐの人にとって住宅ローンの申し込みが不利である状況は、総じて変わっていません。
そこで本特集では「転職したばかりで住宅ローンを申し込む方法」にスポットを当て、転職後すぐに住宅ローンを申し込む場合の注意点と住宅ローン審査を有利にするためのポイント、転職後でも申し込みが可能な住宅ローンをご紹介します。
住宅ローンの審査では、「勤続年数」「年収(&企業情報)」「健康状態」「完済時の年齢」「物件の担保価値」「他の借り入れの有無」などが主な審査項目になります。
転職が影響しやすいのは、このうちの「勤続年数」「年収(&企業情報)」の2種類。また体調が理由で転職をしている場合は、「健康状態」について質問を受ける場合もあります。
転職後の住宅ローン申し込みの際は、どのような点に注意すべきか、それぞれのチェックポイントを見てみましょう。
住宅ローンの数ある審査項目の中でも、多くの金融機関が注目するのが「勤続年数」です。
ただし、従来は「勤続年数3年以上」を申し込みの基準とする金融機関が大半を占めていましたが、現在はこの期間が短縮され「勤続年数1年以上」が主流。その一方で一部のネット銀行やフラット35は、住宅ローンの申し込みの条件に勤続年数を含めていません。その場合、チェックされているのが、どこに転職したのか、またどういう条件で転職したのかです。審査のポイントその2の比率がより高まると考えると良いでしょう。
なお、転職後の勤続年数は、現職だけではなく、前職や前々職での在社年数も加味されます。社会人としての勤労実績を総合的に判断してもらえる反面、1社あたりの在籍期間が短い場合(数ヶ月など)は、金融機関の評価が厳しくなる点に注意が必要です。
転職後の「年収」、転職先企業の「財務状況」なども、住宅ローンの主要な審査項目です。
通常の住宅ローン審査では、年収証明として源泉徴収票(前年分)を提出することになりますが、転職後の場合は、給与明細をもとに見込み年収を申告するケースが多いでしょう。年収が前職と比較してアップしている場合は、住宅ローン審査の際、有利になる場合もあります。
転職先の企業については、規模や知名度ではなく、財務状況が健全かどうか(給料の不払い等が起きる恐れはないか等)を問われるのが一般的です。
住宅ローンを利用する際は、持病や治療歴・手術歴などの有無を申告します。とくに民間の住宅ローンでは、契約者に万一があった場合、生命保険によって借入残高を相殺する「団体信用生命保険」への加入が義務付けられているため、団信に加入できる健康状態であることが不可欠と言えます。
健康上の理由から転職をした場合は、その旨を正確に告げ、病名(診断名)や手術の有無、治療中か完治しているかを告知したうえで、それを証明する検査数値や医師の診断書などを添えるようにしましょう。
なお、団信への加入が必須ではない「フラット35」は、団信の加入条件を満たさない場合の選択肢としておすすめです。
申込者(契約者)が住宅ローンを完済し終える年齢も審査項目の重要ポイントです。
ほとんどの住宅ローンは、完済時の年齢に75歳もしくは80歳までの上限を設けているため、申込者の年齢が高い(あるいは借入期間が長い)等で、上限年齢を超える場合は、審査に通りにくくなる傾向があります。
転職の有無が完済時年齢に影響するケースは、それほど多くありませんが、定年を設けている企業への転職と比較すると、定年制を撤廃している(あるいは定年後の再雇用制度がある)企業への転職のほうが、評価は高まる可能性があります。
同じく、転職との関連性は深くないものの、「物件の担保価値」も住宅ローン審査の結果を左右します。
住宅ローンは、土地や建物を抵当に入れることで資金を貸し出すしくみとなっているため、物件の評価額(担保としての価値)が、販売価格よりも大幅に低い場合、審査に通りにくくなります。
このような、担保価値と販売価格のずれは、新築物件よりも中古物件で起きるケースが多いでしょう。新築物件の場合は、売り手となるディベロッパーやハウスメーカーが土地代・建築費用等を把握していることが一般的ですが、中古物件の場合は、売り手である不動産会社と金融機関が、それぞれに査定を実施しており、そのぶんズレが生じやすいと言えます。
金融機関の提示する担保価値が、不動産会社の販売価格よりも低い場合は、双方に査定根拠を確認するなど、なんらかの説明を受けられるようにしましょう。
転職の有無にかかわらず重視しておきたい最後のポイントが、住宅ローン以外の借り入れです。
カードローンや車のローン、クレジットカードの利用額も借り入れと見なされるため、金額が大きい場合は住宅ローンの審査結果や借入額が影響を受けます。
また、過去の借り入れで1か月以上の返済遅延があった場合も要注意。信用情報機関(JICC、CIC、KSCなど)に事故情報が記録されると、それが原因で住宅ローン審査に落ちる可能性があります。信用情報機関の記載情報は、本人であれば開示申請もできるため、気になる場合は住宅ローンを申し込む前に確認すると良いでしょう(手数料500~1,000円)。
転職後すぐに住宅ローンの申し込みをする場合、通常の住宅ローン審査とは異なる書類が必要になる場合があります。
金融機関からの求められることが多いのは「雇用契約書」「採用通知書」「職歴書」「給与明細・賞与明細」など。これらは、必要に応じて手持ちの種類を準備するか、会社に発行を依頼しましょう。
なお、転職後の住宅ローン申し込みで特に重要視されるのが、今までに在籍した企業や経験した職種などを記す「職歴書」です。
転職の「職務経歴書」ほど細かな業務内容を書く必要はありませんが、なぜ転職をしたのか、という「転職理由」は、しっかりと職歴書に記載しておくほうが、審査の通過率を高めることができます。
金融機関の印象がアップする「転職理由」
審査を通過するうえで有利なのは、「前職と現職の仕事内容が同じ」など、転職の方針に一貫性を感じられる場合です。また、転職先に今までのキャリアを評価されて年収がアップしている場合も、金融機関の印象は良くなるでしょう。
一方、異業種への転職などの年収ダウンが起こりやすい転職の場合は、より丁寧に「転職理由」を吟味し記載する必要があります。たとえば、自身の志望動機(なぜその業界や企業を志望したか)、採用担当者の言葉(なにを期待して採用されか)などを参考に、転職の理由として落とし込みましょう。
前向きな転職であることや、働く意欲が高いことを示すだけでも、簡単に辞めないという姿勢をアピールし、人物部分の評価を高めることができます。
一般的には、申込者の「勤続年数」を重視することが多い住宅ローンですが、近年は、転職後すぐであっても住宅ローンの申し込みを受け付ける金融機関が増えています。
また、長期固定型の住宅ローン「フラット35」は、すべての審査項目が公開されており、年収などの条件さえ満たしていれば、転職後すぐでも申し込みが可能です。
新生銀行の住宅ローン。転職後すぐの申し込みが可能(ただし住宅ローン申込書への転職履歴の記載と、年収見込証明書の提出が必要)。
住宅ローン保証料・団信保険料・一部繰り上げ返済手数料は無料で、金利水準も低い。
「安心パック」を申し込むと、要介護状態となった場合に住宅ローン返済が免除される「団信介護保険」が無料で付帯するほか、繰り上げ返済によって短縮した期間分の返済を休憩できる「コントロール返済」が利用可能となる。
楽天グループのネット専業銀行・楽天銀行が提供するフラット35。返済口座を楽天銀行の口座に指定すると、融資手数料(借入額×1.404%)が1.08%に割り引かれる。楽天銀行と同等の金利水準でサービスを提供しているフラット35やネット銀行の多くが、融資手数料を2.16%に設定していることを考えると、楽天銀行のフラット35には優位性がある。また2017年10月からフラット35にも団信が原則付帯することになったが、団信を付帯させず、そのぶんの金利を引き下げる団信未加入プランも提供している。
住宅ローン利用者は、楽天銀行「ハッピープログラム」のランクが1つアップし、ATMの利用手数料や、他行宛振込手数料の無料回数が増える。
ネット専業銀行・ソニー銀行の住宅ローン。住宅ローンの申込条件に「勤続年数」を設定しておらず、転職後でも住宅ローンを申し込むことができる。審査時には「採用通知書(雇用契約書、収入金額記載の書類)」と「給与明細・賞与明細」が必要。
返済期間中に変動金利と固定金利の切り替えを自由に行うことができる。
住宅ローン保証料・団信保険料・一部繰り上げ返済手数料は無料。また、がんと診断された場合に住宅ローン残高が半分になる「がん50%団信」も無料で付帯する。
仕事と持ち家、どちらを優先するか、という悩みは、複数のライフイベントが重なる働き盛り世代ならではのものです。
従来であれば、転職後すぐは住宅ローンの審査が厳しくなることから、「まずは住宅を購入してから転職」、あるいは「転職後しばらくは住宅購入を見合わせる」という考え方が一般的でした。
しかし現在は、転職後すぐのビジネスパーソンであっても、勤続年数のみを理由に住宅ローン審査に落ちるケースは減っています。
転職によって事実上のキャリアアップや年収アップを実現できることも多く、一昔前のような転職に対するマイナスイメージは払拭されつつあると言えるでしょう。
転職も持ち家も、より良い人生を送るための大切な決断です。転職のために持ち家をあきらめることや、住宅ローンのために転職を先送りすることを避けるには、自分のキャリアの軸に沿って満足度の高い転職を成功させること、そして、転職を前向きに捉えている金融機関の情報を持っておくことが大切です。
今回ご紹介した転職後の住宅ローン審査をクリアするポイントや、勤続年数を問わず、申し込みが可能な住宅ローンも参考に、転職とマイホームのどちらも実現できる方法を模索してみてはいかがでしょう。
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