転職の流れ
転職エージェントを複数登録するメリットや注意点とは?活用法も解説
転職を希望しているビジネスパーソンをサポートし、求人紹介や、応募の手続き・面接の日程調整などを代行してくれる転職エージェント。
転職活動をバックアップしてくれる存在として、利用を検討している方も多いでしょう。
転職エージェントには、大手人材サービス会社が運営する規模の大きいエージェントから、個人経営の中小エージェントまで、非常に多くの選択肢があります。
また、転職エージェントのかけもち(複数登録)も、ごく一般的。
リクルートの転職サイト「リクナビNEXT」が公表している統計データによると、転職エージェントの平均的な利用社数は、転職者全体で約2.1社。中でも、転職成功者(転職先が決定した人)は、約4.2社のエージェントを利用しているというデータがあります。
このように、転職エージェントを複数登録するのは、決してめずらしいことではなく、むしろ複数を併用して積極的に転職活動をすることが転職先の決定に結びつきやすいと言って良いでしょう。
しかし、初めて転職をする方や、転職エージェントを利用したことがない方にとっては、転職エージェントを複数登録するべき理由や、どのような転職エージェントを選べばよいのか、また、複数登録する場合に気をつけたい注意点などがわかりにくいのもまた事実。
そこで今回は「転職エージェントの複数登録」をテーマに、転職エージェントを併用することが転職に有利に働くわけや、複数の転職エージェントを利用する場合の注意点などを解説します。
転職エージェントを複数登録したほうが有利になる理由は、おもに以下の4点に集約されます。
転職エージェントには、幅広い業界・職種を扱う「総合型」と、サポート対象を特定の業界・職種に絞っている「特化型」があります。
転職活動する上で、メインのサービスとして利用する方が多いのは、求人数や取引先企業数が多く、間口が広い「総合型」ですが、希望する業界や職種によっては、専門領域を持つ「特化型」の転職エージェントのほうが、良い求人にめぐりあえるケースも少なくありません。
つまり、総合型と特化型の転職エージェントを組み合わせて利用することによって、より精度の高い求人を見つけられる可能性が高まると言えるのです。
また、転職エージェントのサポート内容にも各社でばらつきがあります。
たとえば、総合型の転職エージェント大手のリクルートエージェントでは、求人企業の社風や職場内の雰囲気もわかる独自の「AGENT REPORT」を提供しており、同じく総合型の転職エージェントであるdoda(デューダ)には、必要事項を入力するだけで職務経歴書を自動作成できる「レジュメビルダー」というオリジナルサービスがあります。
これらの異なるサービスを上手に組み合わせることで、転職活動をさらに効率よく進めることができる点も、転職エージェントに複数登録するメリットと言えるでしょう。
なお、転職エージェントのほとんどが、一般的な転職サイトや企業のホームページには掲載されていない「非公開求人」を扱っています。
非公開求人は、そのエージェントに登録していなければ紹介してもらうことができません。また転職エージェントによって、取り扱う非公開求人の内容が異なります。つまり複数登録をすることで、より多くの独自求人にアクセスできるというメリットがあるのです。
最後に、転職エージェントに複数登録するメリットとして覚えておきたいのが、担当者の質や、相性の合う・合わないといったリスクを減らすことができる点です。
転職エージェントの最大の特徴は、キャリアアドバイザーという転職支援のプロに、キャリアの相談や面接への同行といった人的なサポートを依頼できることです。
しかし、相手が人間である以上、自分自身とキャリアアドバイザーとの相性(合う・合わない)が必ず出てきます。また、キャリアアドバイザー自身の経験が浅く、十分なサポートを期待できないケースもあるでしょう。
転職エージェントを複数登録しておくと、相性の合わない担当者や転職知識の不足した担当者と転職活動を行うことによって、転職活動そのものがうまく運ばなくなるリスクを小さくすることができます。
前述の通り、転職エージェントの複数登録には多くのメリットがあることから、転職活動の歩きかた編集部では、求職者の方にひろくおすすめしています。その一方で、複数の転職エージェントを利用する際に知っておきたい注意点もあります。
以下に注意点をまとめているので、複数登録する前にチェックしておきましょう。
転職エージェントの複数登録は、エージェント側もごく一般的なことと理解しているため、特に隠す必要はありません。
むしろ、複数のエージェントを利用している情報を担当者と共有していないと、「同じ求人を異なるエージェントから紹介されたときに、断り方が不自然になる」「相手との信頼関係を築きにくい」といったマイナス面があるため、複数登録していることは隠さずに話しておきましょう。
また、同じ求人に複数の異なる転職エージェントから応募することも避けましょう。
転職エージェントは紹介した人材が採用されることで企業から紹介報酬を得ているため、首尾よく選考に通過した場合でも、転職エージェント側の権利の所在が不明になってしまう等、混乱の原因になります。
応募する企業の人事担当者にとっても、異なるエージェントから同一人物を紹介されることは採用の効率を下げることとなり、心証が悪化する可能性もあるでしょう。
なお、転職エージェントへの登録後は、担当者からの連絡(求人の紹介や採用可否の連絡etc.)、キャリアに関する面談、企業との採用面接など、転職関連のスケジュールが入ってきます。
複数の転職エージェントに登録する場合、担当者からのメールへのレスポンスが滞ったり、面接の予定が重複してしまったり、ということが起きないよう、応募やスケジュールの管理を徹底しましょう。
転職エージェントを選ぶ場合は、総合型か特化型かを意識して、自分に合った求人を多く取り扱っていそうなエージェントを選ぶのがおすすめです。
ちなみに、総合型の転職エージェントも、個々のサービス内容には違いがあるため、最初は、総合型2~3社、特化型2~3社、合計4~5社程度に登録し、最終的に2~3社に絞っていくと良いでしょう。
絞り込む際のポイントは、自分の希望する分野への求人を紹介してくれるか(求人の精度)、担当者との相性、Webサイトや各種サービスの使い勝手など。
特に、求人の精度や担当者との連携は転職の成否を左右するため、自分の希望と転職エージェントの対応にズレがあると感じた場合は違和感を放置しないことが大切です。
総合型の転職エージェントは、求人数が圧倒的に多く、間口の広さが特徴。
転職の総合窓口として取引先起業の幅広さや、業界を横断した転職アドバイスなどに強みがあります。
総合人材サービス大手「パソナ」が運営する転職エージェント。人材派遣業で培った企業とのコネクションを武器に、4万件以上の求人を取り扱う。転職後の年収アップ率は67.1%と他の転職エージェントと比較しても高い。転職サポートは、求人紹介のほか、キャリアアドバイザーによるスキル・経験の棚卸しやキャリア相談、応募書類の添削、面接対策、年収交渉等、転職活動に関わるほぼすべてのフェーズで転職をサポート。初めての転職でも、きめ細かな転職サポートを受けることができるだろう。
創業40年以上、転職支援者数累計30万人以上の転職サポート実績を持つリクルートグループの転職エージェント。日系企業に限らず、外資系企業とも強いコネクションを築いており、一般には公開していない「非公開求人」が全体の約9割を占める。業界・職種ごとに専門知識を持ったキャリアアドバイザーが転職サポートを担当し、提案力の高さにも定評がある。現在までのスキル・キャリア等の棚卸しから、職務経歴書の添削、求人紹介など、転職に関わる作業をフルサポートしてもらえるおすすめの転職エージェント。
特化型の転職エージェントは、業界独自の転職事情や企業の内情に精通している点がメリット。取り扱う業種や分野、対象とする転職者などは、第二新卒・既卒者向け、エグゼクティブ・マネージャー向け、外資系企業、医療業界(医師、看護師etc.)、福祉業界(保育士、介護士etc.)、アパレル・ファッション業界、IT業界など、非常に多岐にわたります。
自分自身の出身業界・年齢・得意分野などをもとに、サポートの充実している転職エージェントを選びましょう。
転職エージェントは、大手から中小&個人まで、総合型から特化型まで、非常に多くの選択肢があるため、初めて利用する場合は、どのように付き合っていくかについて迷いがちです。
キャリアアドバイザーという「人」にサポートを受ける仕組みのため、ついつい、お世話になっている相手に悪いのでは……と、複数の転職エージェントに登録することをためらう場合もあるでしょう。
しかし、データで見る通り、転職エージェントは複数利用をしたほうが、転職先が決まりやすく、また、転職エージェント側もそのことを把握しているため、利用者が他のエージェントに登録することを気に病むケースは、ほとんどありません。
今回ご紹介した、様々な転職エージェントの特徴や、複数登録することのメリット・注意点も参考に、ご自身の転職の心強い味方となってくれる転職エージェントを見つけましょう!